「Oracle 10g Release 2」出荷へ、9iからの移行はどうする

2005/9/6

 日本オラクルの執行役員 システム事業推進本部長 三澤智光氏は、9月7日から順次出荷するデータベースの新版「Oracle Database 10g Release 2」(Release 2)について、「(予定されている)10gのファンクションが完璧に実装されている」と述べ、Oracle9i Databaseを使っていた顧客や、販売・導入パートナーの10gへの移行が加速するとの考えを示した。三澤氏はRelease 2の出荷後、半年で30億〜50億円の売り上げを目指すとした。日本オラクルはNECのISP「BIGLOBE」が「Oracle Database 10g Release 2 for Linux x86」の採用を決めたことも発表した。

日本オラクルの執行役員 システム事業推進本部長 三澤智光氏

 Release 2は前バージョンのOracle Database 10gから基本機能、性能を向上させた製品。三澤氏によると、10gと9iの出荷を比べるとすでに10gが上回る状況で、「10g化は終わっている」。Release 2では、10gが最初に発表された際に実装を表明した機能を実際に盛り込み、「すべてのアプリケーションのための統合データ基盤」を目指す。

 三澤氏が「驚きますよ」と胸を張る新機能は、「Oracle Real Application Clusters 10g」(RAC)に対応したプロビジョニング機能。これまで8時間かかっていたRACのノード追加と必要なパッチの適用を5ステップ、5分で可能にした。同時期に出荷される「Oracle Enterprise Manager 10g Release 2」(OEM Release 2)のコンソールを使う。最大で10ノードの追加に対応。日本オラクルのシステム事業推進本部 営業推進部 部長 杉崎正之氏は、10ノードの追加でも2時間半で可能と説明した。

 また、「Oracle Data Guard 10g Release 2」で実現される「ローリングアップグレード」は、複数ノードのシステムで1つのノードずつバージョンアップを行っていく機能。「バージョンアップ時にシステムを止める必要がなくなる。製品として実装されたのは初めてだ」(三澤氏)。

 さらにOEM Release 2には管理下のシステムのセキュリティ状況をチェックして、スコアで一元管理できるコンプライアンス対応機能が追加された。確認できるのはパスワードのポリシー違反やパッチの適用状況、SSLの利用、ポートの開閉など。「複雑な監査機能の設定も容易」(杉崎氏)という。セキュリティ機能ではほかに「Oracle Advanced Security 10g」でデータベースの暗号化機能を強化した。「Transparent Data Encryption」(TDE)機能を実装し、データベースの列単位で暗号化を設定できるようにした。これまでの暗号化ではアプリケーションごとにPL/SQLパッケージが必要で、アプリケーション側の開発が発生していた。しかし、TDEは表の定義後に暗号化の設定を変更可能で、「アプリケーションを書き換えることなく、暗号化できる」(杉崎氏)という。

 三澤氏はRelease 2の特徴を「行き過ぎたベスト・オブ・ブリードをシンプルにする」と述べた。プロビジョニング機能やローリングアップグレードも運用管理をシンプルにする機能といえる。シンプル化で初期投資やランニングコストを削減するのが目的。シンプル化するためにオラクルは、データベースをはじめ、アプリケーションサーバや運用管理ソフトウェア、クラスタソフトウェア、セキュリティ管理、ビジネス・インテリジェンスなどをオラクル製品に移行することを推奨している。“オールオラクル化”ともいえるが、「標準化を極力推進することでベンダロックインを避ける」(三澤氏)という。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(Release 2)
日本オラクルの発表資料(BIGLOBEの採用)

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