モンタビスタが組み込みLinux新版、「リアルタイムOSに匹敵」

2005/9/8

 モンタビスタソフトウエアジャパンは9月7日、ネットワーク機器から産業機器、コンシューマ機器まで幅広いデバイスで利用できる組み込み用Linux OS「MontaVista Linux Professional Edition 4.0」(Pro 4.0)の出荷開始を発表した。高いリアルタイム性能が求められる産業機器ではこれまで組み込みLinuxはそれほど浸透していなかった。しかし、モンタビスタの代表取締役社長 有馬仁志氏は、Pro 4.0のリアルタイム性能を大幅に向上させたことを説明したうえで「産業機器で戦える組み込みLinuxを用意した」と述べ、市場拡大に自信を見せた。

モンタビスタソフトウエアジャパン 代表取締役社長 有馬仁志氏

 Pro 4.0はLinux 2.6.10がベース。前バージョンからの強化の目玉はリアルタイム性能の向上。割り込みスレッドコンテキストの実行や、Spinlock、Big Kernel Lock(BKL)をPriority Inheritance Mutexに置き換えることでプロセスの切り替え速度を向上させたという。Linux 2.6標準の場合、プロセスを切り替える際の遅延時間は500マイクロ秒程度。Pro 4.0では100マイクロ秒程度に短縮した。モンタビスタの営業技術部 部長 木村好徳氏は「チューニング次第で(既存の産業用)リアルタイムOSに匹敵する性能を出せる」と述べた。

 開発ツールは、統合開発環境の「MontaVista DevRocket」が付属する。DevRocketはEclipse 3.0.1がベース。コード生成保管機能やデバック機能があり、プロセスの遅延時間を計測して、処理が遅いコードを探すことができる機能を新たに追加した。プロセス切り替えの遅延時間なども計測可能で、チューニングに利用できる。

 モンタビスタは従来、Linux製品とサポートサービスを一体で販売してきた。しかし、製品だけを求める顧客や、より高度なサポートサービスを望む顧客の声を受けて、製品とサポートサービスの販売を7月から別々にした。従来のサブスクリプションモデルと異なり、新バージョンの製品にアップグレードするには製品を買い直す必要があるが、サポートサービスは標準サポートのほかに専任エンジニアが顧客と定期的に会合する高度なサポートサービスなどもメニューに加えた。製品だけを購入し、サポートサービスを利用しないケースの価格は200万円。サポートサービスを組み合わせる場合は300万円から4000万円の価格帯になる。

(@IT 垣内郁栄)

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モンタビスタソフトウエアジャパンの発表資料

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