また“配信事故”が起きても対応できる新ウイルスバスター

2005/9/9

 トレンドマイクロは9月8日、セキュリティ対策ソフトの最新版「ウイルスバスター2006 インターネット セキュリティ」を11月2日に発売すると発表した。2006年度版のキーワードは“フィッシング詐欺対応”だ。トレンドマイクロ 執行役員 日本代表 大三川彰彦氏は、「今年4月の事件以降、体制を見直し、ほぼ100%安全といえる状態になった。2006年度版では現在の400万ユーザーから、600万ユーザーへ伸ばしたい」と抱負を語った。

トレンドマイクロ 執行役員 日本代表 大三川彰彦氏
  大三川氏は、インターネット利用者(携帯電話/PHS含む)の62%がブロードバンド回線を利用していると指摘。2004年にはインターネットショップの利用者が89.1%となり、オンラインショッピングの取引額は4兆4200億円まで拡大していると説明し、「インターネットはもはやライフラインといえるまで必要性が高まっている。それに比例して、脅威も増している。昨今は特にフィッシング詐欺による金銭的被害が急増している」と警告し、フィッシング対策の重要性を説いた。

 また、同社が行ったアンケート調査によると、ユーザーが感じる脅威のベスト3は、1位が「ウイルスでPCが使えなくなる」で80%、2位が「クレジットカード番号をスパイウェアなどで盗まれる」で78%、3位が「不正な手段で銀行口座からお金を盗まれる」で64%だったという。この結果を受けてトレンドマイクロ 製品開発本部 製品企画担当部長 シニアグローバルプロダクトマネージャー 山崎祐二氏は、「ウイルスと同じくらい、スパイウェアにも脅威を感じているユーザーが、最近急増している点が特徴だ」と指摘した。

 このような状況を踏まえて、最新版のウイルスバスター2006では、フィッシング詐欺対策機能を強化。さまざまな方法で行われるフィッシング詐欺に対応するため、メール経由やウイルス経由、偽装(フィッシング)サイト経由、スパイウェア経由という、フィッシング詐欺が利用する4種類の経路を防ぐための対策を取り入れた。山崎氏は、「巧妙かつ複数経路から、ユーザーをだまそうとするフィッシング詐欺に対して、一般ユーザーがツールなしに対抗するのはもはや不可能に近い」と警告する。

 フィッシングメール対策では、従来の迷惑メール判定パターンファイルに加えて、フィッシングメール判定パターンファイルを配信。ウイルスバスターがフィッシングメールだと判定した場合には、件名に[Phishing]の文字を、迷惑メールと判定した場合には[MEIWAKU]の文字を挿入する。また、言語ごとの対応も可能になった。例えば「英文のメールは一切読まない/要らない」という人の場合には、英文のメールをすべて迷惑メールとして判定する設定もできるようになった。

フィッシング詐欺対策機能を強化したウイルスバスター2006を掲げる大三川氏
 ウイルス経由でのフィッシング詐欺対策では、最近の「ZOTOB」や「RBOT」(ボット型ウイルス)などのウイルスに対応するため、ウイルスパターンファイルのアップデート機能を強化。従来はウイルスバスター起動後、一定時間を経過した後にウイルスパターンファイルの更新がされているか、サーバに確認していたが、今回からはウイルスバスター起動直後に確認するようにした。確認の際に、イエローアラート以上の警告が発生している場合には自動的にアップデートを実行する。

 スパイウェア対策では、クレジットカード番号やパスワードの外部送信対策機能を強化した。スパイウェア検索では、「常に放置」や「常に削除」などの例外設定ができるようになったほか、一度削除したスパイウェアの復元や、スパイウェアサイトへのアクセス制限も可能となった。

 フィッシングサイトへの対策では、Windowsの脆弱性を利用したURLの偽装表示やSSLマークの偽装表示などをチェックする「フィッシング詐欺対策ツールバー」を実装。DNSサーバのホスツファイルの書き換えをチェックする機能や、URLフィルタリング機能も搭載した。また、これらのフィッシング詐欺対策機能を一元的に管理できるように、フィッシング詐欺対策用のウィザードを用意し、利便性の向上も図っているという。

 そのほか、パーソナルファイアウォール機能の強化として、なりすまし通信の防止や例外ルールの設定を可能にしたほか、IPv6環境への対応、パターンファイルを最新版にアップデートした後でコンピュータ障害が発生した場合に、ファイルをアップデート前の状態に戻す「安全機能」を搭載した。

(@IT 大津心)

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トレンドマイクロの発表資料

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