日本企業の新規IT投資は世界最低

2005/9/10

 米調査会社フォレスター・リサーチは9月9日、日本企業のIT関連意思決定者を対象に投資動向に関する調査を実施し、結果を発表した。調査では、日本のIT投資は全体的には増加傾向にあるものの、維持・運用費が足かせとなり、新規投資は世界最低水準であるとしている。

 調査は、同社が行っているアジア太平洋地域の700を超える企業や政府機関を対象に行っているものの一環として実施。2005年6月〜7月にかけて、日本の145社のIT関連意思決定者を対象に実施した。回答社の75%強が従業員数1000〜4999人、14%が5000〜1万9999人、残り11%が2万人以上だった。

 2004年度のIT予算との比較では、33%が増加、10%が減少、49%が同水準と回答。投資を増加させるインフラは、ネットワーク機器が47%、セキュリティ関連機器が47%、PCやワークステーションが40%、サーバが40%、ストレージ機器が36%だった。

 2005年度のIT予算のうち、新規技術投資に充てる比率を聞いたところ、平均15%という回答だった。85%は現行オペレーションとメンテナンスに費やすという。フォレスター・リサーチは、「日本企業が現行システムやプロセス維持への投資が膨大である」と指摘。また、この数値は同社が2004年に行った同様の調査の中で、対象国中最低の数値だった。

 今後12カ月における取り組みテーマの重要性では、IP電話の導入が28%、インフラ管理の外注検討が26%、システムの管理キャパシティの向上が23%、グリッドやユーティリティコンピューティングの導入が23%などが挙がっており、運用・維持コスト削減につながる投資に関心が高いことが判明した。IT人員の問題では、増加と回答したのは18%、削減が19%、現状維持が61%だった。削減と答えた企業数は米国の2倍近い数値だという。このことから、同社では「日本企業は、IT運用費や人員を削減し、新規技術への投資を捻出(ねんしゅつ)しようとしている」と分析している。

 また、ITガバナンスの遅れも露呈(ろてい)した。調査では、経営者がビジネスの視点でIT管理をしている企業は40%にとどまっている。これは、北米企業の69%や欧州企業63%より少ない。また、IT管理部門が一元化されているのは全体の46%で、同じく北米企業の66%や欧州企業の64%より低く、日本企業が部門ごとに管理を行っている実態が明らかになった。

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フォレスター・リサーチ(英語)

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