世界で一番ThinkPadを壊す人々に学ぶ、レノボ

2005/10/6

 あらゆる製品にはその製品独自の哲学があるように、ThinkPadにももちろんThinkPad哲学という独特の守るべき仁義がある。その1つが過酷な使用環境に対する更なる堅牢性の追求だ。レノボ・ジャパンが10月5日に発表したノートPC「ThinkPad Z60t」と「同 Z60m」は、カバーの素材やフレーム構造の見直しなど、厳しい使用環境でも稼動し続けられるよう細かい改良が加えられた。

新しいThinkPad Zシリーズ

 新製品の改良に先立ち、同社は世界で最もThinkPadを壊す人たちの使用状況を調査した。どうやらアメリカの大学生がそれに当たるらしい。彼らほどThinkPadを過酷な使用環境に置く人種はいないようだ。裏返せば、彼らほど、真剣にThinkPadを使っている人種はいないということでもある。

 新しいThinkPad Zシリーズは、筐体の剛性を向上させるため、新たにマグネシウムの骨格を採用した。このフレーム構造の採用で目指したのは、圧迫による負荷から内部の主要部品を守ること。実は、日本ほどノートPCの剛性向上が求められる国も少ない。鞄に入れられるノートPCはそれだけで書類やそのほかの荷物による圧迫を受けるが、加えて、満員電車ではさらなる圧迫が加えられ、時には予想外の衝撃を受ける可能性も高い。なおかつ、ThinkPad Z60t/mでは、ワイド液晶を採用したため、従来モデルよりもボディが横長になっている。マグネシウムの骨格の採用は、従来モデルと比較して、「筐体の剛性を20〜40%向上し、内部回路基板への負荷もおよそ30%向上した」(レノボ・ジャパン 取締役副社長 研究・開発担当 内藤在正氏)という。

 ノートPCを助手席に乗せながら、音楽を聴く人もいないわけではない。上下左右、時には激しく揺れる環境でハードディスクは駆動し続けなければならない。ThinkPad Z60t/mのハードディスクには、ラバー製のショックアブソーバが追加され、さらに浮動式コネクタを二次元化した。片持ち落下試験による衝撃は従来モデル比で50%減を実現している。

 表面が硬く、同時に軽いトップカバーを実現するにはどうすればいいか。ThinkPad Z60tの最上位機種には、CFRP(炭素繊維強化樹脂)にアルミ圧延シートを被せ、さらにチタンのスパッタリング加工を施した。アルミニウムでカバーを作ると軽さを実現できるが、カバーとしては柔らかすぎる。チタンだと確かに頑丈だが重すぎる。これらの「帯に短き襷(たすき)に長し」状態を、チタンのスパッタリング加工を採用することで克服した。チタンのモース硬度(鉱物に対する硬さの尺度)はダイアモンドの10に次ぐ9であり、「10円玉で引っ掻いてもキズがつかない」(内藤氏)。

(@IT 谷古宇浩司)

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レノボ・ジャパン

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