スターリングコマースが狙う「ERP導入その後に」

2005/10/15

 BtoBプラットフォームベンダのスターリングコマースは日本法人のビジネスを拡大させる。6月には日立ハイテクノロジーズと製品販売で提携。スターリングコマース日本法人の代表取締役社長 小池リチャード氏はパートナー数を倍増させると説明、「パートナーの数だけでなく、質も上げる」と意気込んでいる。

 スターリングコマースがフォーカスするのは、「ERPを入れた後のIT環境」だ。小池氏は「ERPやSCMを導入して社内システムを整備しても社内のコストが下がるだけで、企業の成長に結びつかないケースが多い」と指摘。そのうえで「今後、フォーカスしないといけないのは外だ。社外のトレーディングパートナーとの連携の効率化。つまり自社のSCMと他社のSCMを接続する際の効率化が重要になる」と説明した。

 異なるシステムを接続する技術にはEAIがあるが、小池氏は「EAIは社内のシステムを統合する際に利用する」と述べ、社外システムの統合には向かないと説明した。アベイラビリティやSLAなどの環境が異なる社内外のシステムを接続するには、プラットフォームが重要になるというのがスターリングコマースの考えだ。

 スターリングコマースが7月に発表したBtoBプラットフォーム製品「Sterling Integrator 4.0J」は、さまざまなインターフェイス規格やアダプタを搭載し、単一のプラットフォーム上で複数の社外システムと連携できる製品。インターフェイス規格はRosettaNet、ebXML、ECALGA、SMTP、HTTP、FTP、SOAPなどに対応。データベースやレガシーシステム、メッセージングなどに対応するアダプタを用意する。スターリングコマースは「EDI、EAI、B2B、BPMの機能をSOAでシームレスに連携できる」としている。

 Sterling Integratorは国内で約20ライセンスを販売。そのうちの1社、三井物産は海運の荷主、船社、海貨業者間でのデータ処理、アプリケーション連携にSterling Integratorを利用している。荷主、船社、海貨業者のアプリケーションは、SMTPやHTTP、FTP、Web Formsなどさまざまなインターフェイスを利用しているが、Sterling Integratorがハブになってメッセージ変換することで、それぞれの企業が既存のデータフォーマット形式でデータ処理できるようになったという。

 小池氏はスターリングコマースのターゲットとしてSCMを整備しているハイテクや自動車などの製造業、さまざまなインターフェイス規格を使ってパートナーと連携する必要がある金融を挙げた。「各業界で企業間の連携が迫られる状況が生まれつつあり、BtoBプラットフォームのニーズは高まる」

(@IT 垣内郁栄)

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