世界初のIP携帯? 月5000円の定額通話を12月開始と発表

2005/10/20

 カナダのソフトウェア開発会社Namzak Labsのグループ企業、ナムザック・ジャパンは10月19日、携帯電話のパケット通信ネットワークを使ったIP携帯電話システム「Arrowfone」を開発し、法人向けのサービスを今年12月に始めると発表した。ボーダフォンとMVNO(仮想移動体サービス事業者)契約を結び、パケット通信ネットワークを借り受ける考えで、月5000円以下の定額通話が可能になるとしている。ナムザックでは「世界初のパケット通信による携帯IP電話」としている。

ナムザック・ジャパンの執行役員 戦略企画室 室長 山賀章裕氏

 ナムザックはすでに10万ユーザーを想定した運用サーバを日本システムウェアのデータセンターに設置し、ボーダフォンのパケット通信ネットワークを使って試験運用をしているという。試験運用はボーダフォンの「Vodafone702NK」を利用。日本システムウェアは12月のサービス開始後、販売やサポート、サーバの運用業務などでも協力する。

 Arrowfoneは携帯電話にC++の専用プログラムをインストールし、独自プロトコルに基づくVoIP技術を使ってパケット通信で通話する仕組み。携帯電話キャリアのパケット通信ネットワークを経由してインターネットに接続、ナムザックが用意するArrowfoneサーバにアクセスする。Arrowfoneサーバは携帯電話に対してIPアドレスの付与や認証、通話先携帯電話との接続などを担当する。接続後はPtoP接続で通話するという。2者間通話だけでなく、3者以上の同時通話も可能で、その場合は別のコネクションサーバを使う。9600bpsのパケット通信ネットワークでも音声通話できるという。音声以外にテキストチャットやテレビ電話機能も持たせる計画。

 コネクションサーバはArrowfoneの契約携帯電話以外との通話にも利用する。ナムザックはフュージョン・コミュニケーションズのIP電話ネットワークと接続して、Arrowfoneの携帯電話で一般固定電話や携帯電話、IP電話と通話できるようにすることを検討している。ナムザック・ジャパンの執行役員 戦略企画室 室長 山賀章裕氏は「できるだけ早い時期に一般電話との通話ができるようにしたい。年明けには何とかと考えている」と述べた。

 ナムザックはパケット通信ネットワークを借りられるようボーダフォンとMVNO契約を結ぶことを目指している。山賀氏は「やっていい、悪いの問題はクリアしている。後は価格」としていて、契約締結に自信を見せる。ただ、12月のサービス開始時にNVMO契約が結べているかは未定。契約ができていない場合は、ボーダフォンの現状のパケット通信料で定額制サービスを提供するとしている。

 また、ナムザックはすでに新サービスの顧客として、オリックス・グループやヤマトシステム開発が内定していることを明らかにした。オリックス・グループは1万ユーザーの利用が見込めるという。ナムザックは電話連絡が多い運送業界や生損保業界をターゲットに新サービスの導入を迫る考えで、サービス開始1年以内に10万端末の契約と年間売り上げ30億円を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
ナムザック・ジャパン
日本システムウェアの発表資料

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