ホリエモン、セシールを買収〜楽天を抜くネット通販会社に

2005/10/22

 ライブドアとライブドアマーケティングは10月21日、カタログ通販大手のセシールと資本・業務提携を締結したと発表した。また、ライブドアマーケティングは、セシールの過半数の株を取得し、子会社化する方針であることを明らかにした。ライブドア 代表取締役社長兼最高経営責任者 堀江貴文氏は「セシールは30〜40代を中心に1500万人の買物会員を有しており、インターネット販売事業を強化することで、楽天に負けない、日本を代表するネット通販事業者にしたい」と抱負を語った。

セシールを買収した理由を説明する堀江氏。楽天とTBSの騒動以前から買収を検討していたという
  ライブドアマーケティングは、セシールの筆頭株主(25.73%)である有限会社アジア物産を103億8200万円で買収。過半数に必要な残り24.4%(983万3800株)以上をTOB(株式公開買い付け)で取得する予定。買付期間は10月24日から11月15日までで、1株につき1000円で行う。また、ライブドアマーケティングはセシールが発行する新株予約権も引き受ける。新株予約権の行使に必要な金額を除いた買収総額は約200億円になる見込みだ。

 ライブドアは、月間ユニークユーザー900万人、月間90億PVのポータルサイトであるライブドアポータルからセシールへ顧客を誘導する。また、ショッピングや旅行、自動車などのコンテンツや、クレジットや証券などの金融サービスをセシールに提供する予定だ。堀江氏は、「当社はあくまでセシールに課金の仕組みや、ネット通販インフラなどのプラットフォームを提供する。グループ会社化するからといってセシールを優遇するのではなく、あくまでもほかのテナントと同様に1テナント事業者として扱う予定だ。セシールでは、ライブドアグループの金融商品を積極的に販売していきたい」と説明した。

 セシールの親会社となるライブドアマーケティングは、ネット関連のコンサルやネット広告のノウハウ提供、通販事業のCRM強化など、同社の強みを生かした支援を実施する。セシールのカタログ販売は今後も継続するが、インターネット通販事業を強化していく方針だという。セシール 代表取締役社長 猪瀬具夫氏は、「昭和47年5月に創業して以来、通信販売を手掛けていたが、1990年代の絶頂期に売上2000億円を達成後に売上減少が続き、カタログの大幅変更などでも結果を出せず、今期も赤字になる見込みだ。売上回復にはインターネット通販が必要だと感じた」とコメントし、ライブドアとの提携の背景を語った。

左から、セシール 猪瀬具夫社長、ライブドア 堀江貴文社長、ライブドアマーケティング 岡本文人社長
 ライブドアマーケティング 代表取締役社長 岡本文人氏は、セシールのメリットとして、「インターネット通販事業の強化」「会員向け金融&コンテンツサービス事業開始」「会員をベースとしたメディア事業の開始」を挙げ、「セシールが持っている1500万人の顧客データはすべて“顔が見えている”ユーザーデータであり非常に有用だ。このデータを有効活用してマーケティングをしていきたい」(岡本氏)と説明した。また、ライブドア側のメリットして、1500万人の顧客をポータルサイトへ誘導できるほか、金融&コンテンツサービスによる収益の強化や、広告事業における新規メディアの獲得を挙げた。

 堀江氏は、「通販はネットとの親和性が高い。現在のセシールの売り上げは700億円超。楽天の2500億円を抜く通販事業者に育てたい。ライブドア本体は六本木ヒルズに本社があって家賃が高いなどの理由から、直販は今後は一切せず、ライブドアマーケティングやセシールなどに任せる方針だ。セシールでは保険をプッシュマーケティングしたりするなど、いままで同社が得意としなかった金融商品の販売も力を入れていきたい」と語り、今後の方針などを示した。

(@IT 大津心)

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