WindowsユーザーはぜひSAPを使って〜ヒューストンMS社長

2005/10/27

 SAPジャパンは10月26日、技術者向けイベント「SAP TechEd '05」を都内で開催した。期間は27日まで。基調講演では、SAPジャパン 代表取締役社長 ロバート・エンスリン(Robert Enslin)氏やマイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が講演を行った。

SAPジャパン 代表取締役社長 ロバート・エンスリン氏
 エンスリン氏は、昨今の企業合併があらゆる業界に影響を与え、専門分化が加速していると分析。「従来の保守コストを投資コストに変える必要がある。変化するビジネスモデルについていくために、柔軟性とスピードがIT設計に必須になった。これに応えられるのはEnterprise Services Architecture(ESA)だけだ」と強調した。

 エンスリン氏によると、ESAの進行度合いは変化対応力に比例し、プロセスモデルを強化して変化に対応できるビジネスネットワークを構築できるという。また、同社が推進するオープン化については、30種類のxApps(SAP クロスアプリケーション)や、300以上の“Powered by SAP NetWeaver”パートナーが参加したとし、今後もNetWeaverのオープン化を進め、マイクロソフトやIBMとの協力関係を強化したいと語った。

 エンスリン氏によるマイクロソフトとの関係強化に対する発言に合わせて、マイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン氏が登壇した。ヒューストン氏は、SAPとマイクロソフトが12年間にわたってパートナーシップを強化してきたことについて触れ、ここ10年間でWindowsプラットフォーム上で稼働するSAP製品が劇的に増加していることを強調。現在では、80.5%のユーザーがWindows 2003 Serverを選択し、53.8%がデータベースにSQL Server 2000を利用しているという調査結果を示し、SAP製品におけるマイクロソフト製品のシェアが増加しているとアピールした。

「“O”で始まる会社のデータベースには負けない」とSQL Server 2005に自信を見せる。マイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン氏
 また、同氏は近日リリース予定の「SQL Server 2005」について、「5年ぶりのリニューアルになるため、大幅にパフォーマンスと投資対効果を向上させている。SQL Server 2005は開発当初からSAPを念頭において作成しているため、SAP製品との相性は非常によいはずだ。“O”で始まる会社の製品よりも安いし、アドオン機能も多くが最初から含まれているので開発費も抑えることができる」と語り、今後SAP製品におけるデータベースのシェアをさらに拡大させる意気込みを見せた。

 続いて、SAPの次世代クライアントソリューションであり、SAP製品とMicrosoft Office製品の融合でもある「Mendocino」の進ちょく状況を報告。Mendocinoは、両社の共同開発製品であり、SAP製品のクライアントとしてMicrosoft Office製品を利用できるというもの。Microsoft Office製品からSAP製品を直接操作できるようになるため、操作性が向上するとしている。ヒューストン氏は「現在、Mendocinoの開発は順調に進んでおり、2006年ころにはリリースできる見込みである」と説明した。また、マイクロソフトとSAPの今後の関係についても触れ、「今後も両社はますますパートナーシップを強化していく。当社の新製品との連携により、SAPソリューションのROI(費用対効果)を最大化していく」との抱負を語った。

 次にエンスリン氏は、SAP製品の今後のロードマップを紹介。10月24日にはNetWeaverのマイナーリリースバージョンである「SAP NetWeaver 2004s」を評価版として公開し、2006年5月末ころにメジャーバージョンアップである「SAP NetWeaver BPP」をリリースする予定であることを明らかにした。エンスリン氏は、「マイナーバージョンアップだが、SAP NetWeaver 2004sでも多くの新機能を搭載した。マイクロソフト製品などとの連携によって、より利便性が増しているはずだ」と語り、講演を締めくくった。

(@IT 大津心)

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