あなたの会社は変化に強いですか?

2005/12/2

 NTTデータ 代表取締役社長 浜口友一氏は12月1日、ガートナージャパン主催のイベント「Symposium/ITxpo 2005」で講演し、IT投資効果を迅速に出し、環境の変化に強い会社になるための方法を語った。

 浜口氏は、「IT投資効果は導入度と活用能力の掛け合わせ」と説明し、いかに使えるITを導入するか、導入したITをどう使いこなすか、その効果をどう評価するかの3点について説明した。

NTTデータ 代表取締役社長 浜口友一氏

 EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)のフレームワークとしてデファクトスタンダードといわれるザックマン・フレームワークに当てはめると、IT投資の効果が分からない最大の原因は、戦略スコープに基づいたビジネスモデルがきちんと構築されず、システムモデルから始めてしまうこと。浜口氏は、スコープに基づいたビジネスモデルの策定の重要性を強調する。スコープとビジネスモデルにコストと人材を投入することが、結果的にコスト削減につながると話す。「上流をきちんとやらないと手戻りが発生する」からだ。

 競争力に関わらない部分は開発するのではなくパッケージを利用してコストを抑え、競争力の源泉となる部分のシステムはコストをかけてでも積極的な作りこみをするなど、効果と投資額のバランスを見極めることが価値の最大化につながる。「ビジネスモデルとシステムモデルを行ったりきたりして」どこにコストをかけるかをよく検討し、所定の投資額に絞ることが重要だという。

 導入したITをどう使いこなすかについては、以下のことが重要だとした。経営層の理解と活用度を高め、データ入力の徹底、データ精度向上という好循環をつくること。社内で改革のボトルネックになっている人の層へは体系的な意識改革を実施すること。やりたいことを一度にやろうとするのではなく、目標を細分化していくつかのステップにし、必要性と必要期間から優先順位を明確にしてできることから着実にクリアすること。

 導入した効果をどう評価するかについては、システム導入後に計画されていた投資効果を検証し、ビジネスモデルの陳腐化を防ぐため、稼働後にもビジネスモデルを継続的に評価・改善することが必要だとした。

 浜口氏が挙げた事例の1つM社では、スコープはお客さま本位、軽くて早い体質の垂直型事業形態を実現することであり、それに基づくビジネスモデルを「差別化できる商品の創出とその世界同時発売・垂直立ち上げの実現」とした。これを基に、さらにシステムモデル、テクノロジーモデル、詳細仕様へ落とし込んだ。M社は確実にIT導入の効果を挙げ、投資額も1年遅れで回収する見込みだという。

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