漫画喫茶、学校の共有PCを安全に、MSがツールを無償配布

2005/12/6

 マイクロソフトは12月5日、学校やネットカフェなど複数のユーザーが共有して使うWindows PCのセキュリティや管理性を向上させる新ツール「Shared Computer Toolkit for Windows XP」を12月15日に無償で提供開始することを明らかにした。マイクロソフトは共有PCの管理について「教育市場のニーズが一番高い」と判断。東京都三鷹市の三鷹市教育センターと協力し、市内の小中学校への導入を目指して共同検証を行っている。「年明け、または春までには案内できる」という。

マイクロソフト プロダクト デベロップメント Windowsプラットフォーム グループ リードプログラムマネージャ 衛藤隆司氏

 Shared Computer Toolkitが対象とするのは学校や図書館、ネットカフェ、漫画喫茶、空港、ホテルなど1台のPCを複数のユーザーが利用する環境。これらの環境のPCではユーザーのパスワードやWebサイトの閲覧履歴がPCに残り、ほかのユーザーに知られてしまう危険がある。コンピュータの設定が勝手に変更されてコンピュータ・ウイルスに感染しやすくなったり、アプリケーションを無断でインストールされるなど管理の面でも課題がある。

 Shared Computer Toolkitの機能は主に2つ。ユーザーのタイプに応じて利用できるアプリケーションや設定変更を制限できる「ユーザー制限」と、PCを再起動するだけでユーザーがシステムに対して行った変更を元に戻すことができる「Windows ディスク保護」。それぞれの機能はGUIから設定可能。対象OSはWindows XP Service Pack 2 Home/Professional/Tablet Edition。ユーザーの設定情報を仮保存するために1024MB以上のディスク領域をパーティションとして設ける必要がある。

 ユーザー制限はWindowsのユーザープロファイルごとに設定可能。インターネットのアクセスやシステム設定、ドライブ、アプリケーションの利用、利用時間などに制限をかけられる。プロファイルごとに設定できるため、生徒と教師、システム管理者など異なる立場のユーザーが1台のPCを共有できる。

 Windows ディスク保護はユーザーがシステムに対して行った変更を再起動だけで復元する機能。ユーザーがWindowsにとって重要なシステムファイルを削除しても、再起動だけで復旧できるため、システム障害時のトラブルシューティングに利用可能。再起動時間は「通常と同じ。単に再起動するだけでCドライブの変更、システム設定を戻すことができる」(マイクロソフト プロダクト デベロップメント Windowsプラットフォーム グループ リードプログラムマネージャ 衛藤隆司氏)。

 Windows ディスク保護の適用前にインストールしたアプリケーションは、再起動しても削除されない。また、マカフィーとコンピュータ・アソシエイツのウイルス対策ソフトウェアのパターンファイルも削除の対象外で、再起動を繰り返しても最新に維持される。更新スケジュールを設定することで、ほかのウイルス対策ソフトウェアのパターンファイルにも対応するという。Microsoft UpdateでダウンロードされるWindowsの修正プログラムも保護する。

 Shared Computer Toolkitはローカルの共有アカウント用で、「PCの集中管理ではActive Directoryとグループポリシーの方がベター」(衛藤氏)。ただ、Windows ディスク保護はActive Directoryのドメイン環境でも利用できるため、マイクロソフトは「Shared Computer Toolkitは職場でも使える」としている。Shared Computer Toolkitは9月19日に英語版がリリース。日本語版は12月15日のリリースを予定している。Webサイトから無償でダウンロードできるようにする。CD-ROMの送付も受け付ける。

(@IT 垣内郁栄)

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