レッドハットCTOが語る次期Red Hat Enterprise Linuxの姿

2005/12/7

 米レッドハットのCTO ブライアン・スティーブンス(Brian Stevens)氏は12月6日、2006年後半にリリースを予定しているLinux OSの次期バージョン「Red Hat Enterprise Linux v.5」について、仮想化、ステートレスLinux、開発者支援の3つのプロジェクトを中心に開発を進めていると説明した。スティーブンス氏は「2006年の中心事項はTCOの削減」と指摘し、展開している3プロジェクトが企業のTCO削減につながると強調。「Fedoraプロジェクトを中核にして3プロジェクトの開発を進めて、最終的にv.5で商品化する」とした。

米レッドハットのCTO ブライアン・スティーブンス氏

 v.5に盛り込む仮想化機能はレッドハットがXenコミュニティやパートナー企業とともに開発し、サーバ製品に実装する。1つのサーバ上で複数のOSとアプリケーションを稼働させる機能。CPUやメモリ、I/O、ストレージなどのリソース管理もできるようにし、「アプリケーションのSLAを管理するインフラ」(スティーブンス氏)として機能する。スティーブンス氏は「現在、一般的なサーバのCPU稼働率は10〜15%程度。仮想化技術の利用で最大60%にできる。これはシステムの価値を3倍以上にできることを意味する」と述べた。

 ステートレスLinuxはLinuxを搭載したクライアントPCの個人設定データやアプリケーションデータをネットワーク上で管理する仕組み。設定データをネットワーク上に置くことで、クライアントPCの集中管理が容易になり、運用管理コストの削減につながるという。システムの障害でクライアントPCが使えなくても、ネットワーク上の設定データを適用することで別のPCをすぐに使うことができる。

 ステートレスLinuxの技術は仮想化技術と組み合わせることでシンクライアントのソリューションに進化するとスティーブンス氏は説明した。各クライアントPCの環境を仮想化してサーバに格納し、必要なデータだけをシンクライアントに届ける仕組みで「現在、プルーフ・オブ・コンセプトをしている」(スティーブンス氏)という。

 開発者支援ではEclipse、SystemTAP、Fryskなどオープンソースで開発されたツールへの支援を行って、ソフトウェア品質の向上を目指す。スティーブンス氏は「パフォーマンスの高い信頼性のあるアプリケーションを迅速に確実に構築、展開する開発環境を整える」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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