「SQL言語は過去20年で最も成功した標準規格」、オラクルVP

2005/12/13

 米オラクルの標準戦略&アーキテクチャ担当バイス・プレジデント ドナルド R. ドイチェ博士(Dr. Donald R. Deutsch)は12月12日、都内で会見し「オラクルにとっても他社にとっても規格の標準化は世界的な販売活動のうえで不可欠。標準化の重要性は今後さらに増す」と述べた。「標準規格はあったらいいなではなく、なくてはならないに変ってきている」

米オラクルの標準戦略&アーキテクチャ担当バイス・プレジデント ドナルド R. ドイチェ博士。「オラクルにとって標準は創業当時からのDNA」と強調した

 ドイチェ博士は標準化団体、INCITSでリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)がサポートする標準規格を策定している「H2 Technical Committee on Database」議長など、IT業界のさまざまな標準化団体の議長やメンバーを務めている。

 ドイチェ博士はIT業界の標準化について「政府の影響外だったためにANSI、ISOなどの公的な機関が決める標準[De Jure Standards]と、企業が自主的に集まるコンソーシアムが中心となり標準を決めてきた」と説明した。新技術に対応するため標準化の迅速な作業が望まれるIT業界では公的機関による標準化ではなく、コンソーシアム形式の標準化作業が増えているといい、ドイチェ博士は「正式な標準化のプロセスは消えてなくなることはないが、コンソーシアム活動はさらに盛り上がるだろう。両者のバランスが重要だ」と述べた。

 ただ、コンソーシアム形式の標準化を積極的に進めているのは米国中心。米国以外では公的機関による標準化が重要性を持っていてドイチェ博士は「EUや発展中の国。特に中国では強い力を持つ」とした。日本は「米国とEU、中国の中間」だという。

 RDBMS分野で最も重要な標準規格はSQL言語だろう。ドイチェ博士は「SQL言語はこの20年間で最も成功した標準規格だ。SQL言語の標準化によってRDMS市場は成功し、オラクルも世界で2番目に大きいISVとなった」と述べ、オラクルの成長に寄与した標準規格の重要性を強調した。

 オラクルは標準化の作業のため、「数百の標準化団体の数百の作業部会に数百人のエンジニアを派遣している」(ドイチェ博士)。しかし、標準化作業は「ビジネスの目的を達成するためにある。相互運用性に関する顧客の要件を満たすのが目的で、標準化自体が目的ではない」と話した。

 さらにドイチェ博士は「過去を振り返ると、ソフトウェアの標準化は、ほとんどの場合、持続可能な競争優位を作り出していない。その理由は当事者が活動に不満を持つと、また別の標準化のプロセスをスタートさせてしまう。その例がUNIX。標準が1つではなく2つ、3つと生まれる。このように標準が複数があると、市場が混乱し、ユーザーが買い控える。1つの標準に統合できた場合は、全参加者にとってウィン-ウィン。しかし、分裂するとルーズ-ルーズになる。結果として製品戦略が標準化戦略を決定しているといえる」とした。

(@IT 垣内郁栄)

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