東京証券取引所が財務会計情報をXMLで公開へ

2005/12/15

 東京証券取引所では今後ディスクロージャーの高度化の一環として、財務会計や経営情報などをXMLで記述する標準仕様XBRLを採用し、財務情報などを公開していくという。

東京証券取引所 上場部 青克美氏
 この発表が行われたのは、XMLコンソーシアムが開催したイベント「XMLコンソーシアム 第4回ユーザーシンポジウム」。東京証券取引所 上場部 青克美氏が、XBRLの取り組みと見通しについて特別講演を行った。

 現状では、東証における電子的な情報開示のほとんどがPDFかHTML形式で行われており、その中に埋め込まれた財務情報をアナリストや投資家が再利用するには、あらためて再入力しなければならない。「そういった不効率をなくしていきたい」(青氏)。財務データが分析などの再利用がしやすい形で迅速かつ正確に提供することは、証券取引所にとって重要な役割の1つだからだ。

 証券取引所が関わる情報開示制度には、証券取引法に基づき有価証券報告書や半期報告書などを開示する「法定開示」と、証券取引所規制に基づき企業の決定事実や決算情報などを開示する「適時開示」の2種類がある。「法定開示」は正確性が重視され、「適時開示」は迅速性が重視されるという性格を持つ。

 両者は電子的にも別のネットワークを持っており、法定開示は金融庁のEDINETで、適時開示は東証のTDnetで運用されている。

 青氏によると、東証のホストではXBRL対応がすでに始まっており、上場会社がフォームを通じて開示情報を入力すると、ホストに蓄積されると同時にXBRL情報も生成可能になるという。ただし現在はまだXBRL情報を公開しておらず、CSV形式のものが報道機関などに提供されている。「東証のホストで変換するということで、上場会社はXBRLを利用していることを意識せずに、自動的にXBRLデータを生成可能だ。XBRL 2.0 specificationを利用した社会システムでの本格稼働は世界初の事例」(青氏)。

 青氏は、XBRLデータの試験公開を「2005年度中には始めたい」意向であることを明らかにし、さらに金融庁のEDINETともタクソノミーなどの整合性の面で協調しながら、2007年から2008年度をメドとして稼働予定の第3次TDnetでは、さらにXBRLの適用範囲を拡大したいという。また、東証ホームページ上にXBRLの情報サイトも公開し、XBRLの普及にも努めるとした。

(@IT 新野淳一)

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東京証券取引所

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