PDFとFlashに付加価値を、アドビ新社長が会見

2006/2/8

 アドビ システムズの代表取締役社長に1月に就任したギャレット・イルグ(Garrett J. Ilg)氏は2月7日会見し、PDFサーバソリューションの拡大などを柱とする2006年の経営戦略を発表した。アドビは買収したマクロメディアの製品を既存ラインアップに統合した「Adobe エンゲージメント プラットフォーム」をアピールしている。イルグ氏は「人とアイデア、人と情報のかかわり(エンゲージメント)を変革するのがアドビのミッションだ」と語った。

アドビ システムズの代表取締役社長に就任したギャレット・イルグ氏

 イルグ氏率いるアドビが力を入れるのはPDFのサーバ製品群である「Adobe LiveCycle」。Adobe AcrobatなどPDFの作成ツールは多くの企業が利用しているが、PDFを使ったワークフローを構築したり、セキュリティポリシーを付与するようなサーバ製品の普及はまだまだだ。イルグ氏は「企業におけるAdobe PDF利用環境の50%をサーバソリューションで提供できるようにする」と目標を示した。

 アドビのマーケティング本部 公共・法人市場部 部長 小島英揮氏はサーバソリューションの拡大について「Acrobatを大規模に導入している既存顧客の大企業がターゲットになる」と説明した。アドビによるとマクロメディアとの統合で営業体制は1.5倍の陣容になった。製造や通信、金融、官公庁などを担当する営業部隊や、NECなどの大手パートナーを担当する営業部隊に厚みを持たせる。特定の顧客に専任の担当を付けるアカウント営業も設置する。

 アドビは、旧マクロメディアのリッチインターネットアプリケーション(RIA)構築のソフトウェア「Macromedia Flex」と、LiveCycleを組み合わせたソリューション提案も始める。Flexで構築したワークフローに対して、LiveCycleのサーバ製品が「セキュリティ、オフラインの処理、プリントなどの機能を提供する」(小島氏)。FlexとLiveCycleはXMLで通信し、1つのワークフローとして処理する。Web会議、eラーニングを提供する「Macromedia Breeze」とAcrobatを組み合わせたシステムも提案する考えだ。

 新生アドビの強みは、高い普及率で同社が「ユニバーサルクライアント」と位置付けるPDF、Flashを持つことだ。PDF、FlashともクライアントPC環境で普及したが、アドビが用意するサーバ製品を使えば付加価値を付けることができ、企業内のワークフローに載せたり、別の業務アプリケーションとの連携が可能になる。イルグ氏は「Adobe Reader LE」「Flash Lite」などモバイル向け製品の拡大にも力を入れる方針を示したうえで、「マクロメディアの加わりでアドビの成長がかなり早くなる」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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アドビ システムズ

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