EMCジャパンが250人採用、成長のため「最優先で投資を」

2006/2/10

 EMCジャパンの代表取締役社長 ナイハイゼル・エドワード(Edward J. Neiheisel)氏は2月9日、日本市場向け開発チームの新設やパートナーとの協業強化、社員の積極採用などで2006年に14%以上の成長を目指す考えを示した。日本でのシェア向上を目指し積極投資をする方針で、ナイハイゼル氏は「日本法人はワールドワイドのEMCの中でインベストメント・プライオリティはNo.1だ」と述べた。

EMCジャパンの代表取締役社長 ナイハイゼル・エドワード氏

 同社によると、外部ストレージや管理ソフトウェアからなる「情報ライフサイクル管理」(ILM)の国内市場は2005年に51億ドル強。2006年には約7%成長し、55億ドルの市場になるとみている。EMCジャパンの2006年の目標は、市場の7%成長を上回る14%以上の成長を記録すること。ワールドワイドのILM市場でEMCは19%程度のシェアを持つ。国産ベンダに阻まれて伸び悩む国内市場でもこのシェアに近づくのが目標だ。

 成長のための施策はハイエンドの新規顧客獲得と、中堅中小企業への展開だ。それぞれパートナー企業と協力し、これまでアプローチできなかったエリアに切り込む考え。ハイエンドストレージというEMCのイメージを覆し、顧客企業の敷居を低くすることを目指す。「顧客により近いところでビジネスを展開する」(ナイハイゼル氏)ために、日本市場向けのソリューション開発のチームを設立した。これまで日本法人は顧客から聞いた要望を米本社に伝えてきたが、新チームでは自らがソリューションを開発する。プロフェッショナルサービスも強化。サポートサービスもフィールドサービスだけでなく、より高度な技術を提供できるようにする。

 顧客サポート、パートナーサポートを充実させるため、2006年は新たに250人を採用する予定だ。EMCジャパン設立以来、2000年に1度行っただけという新卒採用も実施する。社員向けトレーニングの時間も増やして、スキルやサービスの底上げを図る。ナイハイゼル氏は「(14%以上の成長率は)大きなチャレンジだが成し遂げる。どうしても日本で成功したい」と力を込めた。

1ペタバイト ストレージで統合を提案

 EMCジャパンは同日、ハイエンドストレージの新製品「EMC Symmetrix DMX-3」など4製品を発表した。DMX-3は2005年10月に出荷した製品だが、今回新たに最大2400のディスクドライブを搭載し、1ペタバイト(1024テラバイト)まで拡張できる製品と、最小96ドライブから搭載できるエントリレベル製品を追加した。初期導入コストを抑えながら、ハイエンドの拡張性を利用できるのが特徴。アレイ内で階層型ストレージを構築することも可能で、分散するストレージの統合にも利用できる。価格は7テラバイトの構成で1億1204万5500円から。

 SANストレージ、NASストレージの仮想化製品も発表した。「EMC Invista」は異なるベンダのSANを統合し、1つの仮想ボリュームを生成する製品。仮想ボリュームを作ることで物理ストレージを無停止で移動、変更できたり、サーバへのリソースのプロビジョニングが容易になる。マルチベンダ環境のストレージを一元管理できるようになり、管理コストの低減につながるという。シスコ、ブロケード、マクデータのSANスイッチ上で稼働する。価格は2556万7500円から。

EMCが発表した「EMC Rainfinity Global File Virtualization」

 NASの仮想化製品「EMC Rainfinity Global File Virtualization」は米EMCが2005年8月に買収した米Rainfinityの製品。ヘテロジニアス環境のNASを統合し、1つのリソース・プールを作成する機能がある。今回の発表では物理的なデータの場所にかかわらず統一的なデータアクセスを可能にする「グローバル・ネームスペース管理機能」と、IPネットワーク経由の同期レプリケーションを提供する「同期型IPレプリケーション機能」を追加した。価格は936万7050円から。

 また、EMCジャパンはコンテンツ・アドレス・ストレージの「EMC Centera」で利用する保存期間管理ソフトウェア「Advanced Retention Management」(ARM)を発表した。ARMはCenteraに保存されている特定の記録やオブジェクトの保存期間を特定したり、延長できるソフトウェア。ライセンス価格は4ノードで34万6500円。

(@IT 垣内郁栄)

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