アッカ、モノがつながる時代への序走

2006/2/15

 アッカ・ネットワークスは2月14日、12月を決算月とする2005年度業績と今後の事業展開を説明する記者会見を実施、法人向け事業と機器接続関連の事業が本格化していることをアピールした。

 アッカの2005年度売り上げは約406億円で、前年度比5パーセント増加した。そのうち343億円を個人向けサービスが占めている。しかし2005年第4四半期に初めて加入数が純減するなど、飽和状態に達した個人向けDSLサービス市場の現状を直接反映する結果となった。2006年は光サービスの展開により、顧客基盤の維持を図るものの、同社では2006年度の売り上げが326億円に減少すると予想している。販売促進予算についてもほかの事業にシフトさせる。無線サービスについては2006年度に本格検討するが、「WiMAXに投資するか、MVNOとなるか、いろいろ選択肢はある」(坂田好男社長)と、当面は静観の構え。

 新たな収益源としてアッカが期待するのは、企業向けのVPNサービスや機器接続ソリューション。同社のDSLサービスで利用してきたATMインフラを活用する独自の仮想閉域網が1つのアドバンテージだ。2005年度にはネットワークの信頼性を向上するための、回線や設備の二重化が主要拠点で終了し、今後は本格的なビジネスの推進期に入る。

 企業向けビジネスは、加入数が2004年度の約3万4000回線から、2005年度の約4万1000回線へと、約7000回線増加した。2006年度の売上目標は、前年比45パーセント増の81億円に設定している。そのカギとなるのがパートナーとの協業。アッカでは、1月末に大塚商会と中堅・中小企業を対象としたビジネスの共同展開で提携を発表したが、今後もシステム・インテグレータやASPベンダとの関係を強化していきたいという。

 同社は2月14日、中堅・中小企業向けの販売チャンネル強化を目的として、子会社アッカ・ソリューションズを設立した。3月にはパートナー支援制度「アッカ・パートナプログラム」を開始する。このプログラムを通じ、約5000回線を獲得したいという。

 さらに将来の柱として期待される機器接続事業(同社では「M2M事業」と呼んでいる)は、2005年度の売り上げが約5000万円にとどまったが、2006年度には13億円を目指している。これでも個人向けサービスと比較すれば、1パーセントに満たない。しかし同社では、昨年度後半から急速にビジネスとして立ち上がってきていることを強調している。

 実ビジネスの例としては、2000回線規模の券売機ネットワーク受注、三井住友銀行の1200店舗をカバーしたATM監視ソリューションの導入、駐車場監視ソリューションの商談の進展などがあるという。今後はさらに、RFIDタグを使って日本ユニシスと共同で商用化を進めつつある入退室管理や物流管理ソリューション、実証実験中の製造業を対象とした温湿度管理ソリューションなど、目的別のソリューションを次々に展開していく予定。

 アッカでは基本的にこれらのソリューションをASP形態で提供、ネットワークのみならず、接続機器に関するサポートもまとめて担当することにより、ユーザー企業にとって手間のかからないサービスとして広めていきたいとしている。

(@IT 三木泉)

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アッカ・ソリューションズ設立に関する発表資料

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