回線でなくサービスを多重化せよ〜エクストリーム

2006/3/9

 エクストリームネットワークスは3月8日、アクセス事業者向けのサービス・アグリゲーション・スイッチ、「BlackDiamond 12804R」の受注開始を発表した。出荷開始は3月24日の予定。

BlackDiamond 12804R

 これはアクセス事業者でDSLAMなどの集線装置を束ね、サービスの多重化と制御を行うための製品。通常、アクセス事業者における上流サービスプロバイダとの接続管理は、ルータを使ってレイヤ3で行われている。新製品では、これをレイヤ2でシンプルに実現するとともに、アクセスサービスにおける付加価値向上の機会を提供することを大きな目的としている。

 新製品の第1の特徴は、3段階のQoS/CoS機能。スイッチに対して内向きのトラフィック、外向きのトラフィックの双方に対し、ポート単位および加入者単位でQoS/CoSが設定できるのに加え、加入者当たり8段階の優先度を設定できる。

 第2の特徴である「イーサネット・クロスコネクト」機能では、ユーザーの使うアプリケーションのそれぞれに対してvLANタグを割り当て、これをvMANのプロバイダ・タグと組み合わせて、適切なサービスプロバイダへの割り振りができる。

 また、別個のvLANタグで構成されている2つのネットワークを1つに統合する場合、従来は新たなタグをこの2つのネットワークに割り当てなければならなかったが、新製品では、元のvLANタグに変更を加えずに、相互のマッピングを行えるようになった。

 第3の特徴はネットワークのコアにおけるMACアドレス管理の向上と、サポートできるvLAN数の大幅な増加。これは、標準化が進むIEEE 802.1ahに準拠した機能で、ネットワーク・コアにおける複数のvMANを束ねる作業を、各vMANトラフィックをイーサネットでカプセル化した上で行うというもの。コアスイッチは、全vLAN上のMACアドレスを学習する必要がなくなり、これに接続してくるスイッチのMACアドレスのみを知っていればよくなる。また、現在のVLAN数の制約を超え、多数のVLANを構成できるようになる。

 管理では、レイヤ2で障害の検知と障害箇所の特定を行うための規格であるIEEE 802.1agを一部取り入れ、IPにおけるping、tracerouteに相当する機能をレイヤ2で実現しているという。

 また、同社スイッチのOSである「ExtremeXOS」にはXMLインターフェイスが実装されているが、これを近い将来ユーザーに開放することで、通信事業者のOSS(Operation Support System)などとの容易な連携を可能にするという。

 BlackDiamond 12804Rは6スロットを備えたシャーシ型スイッチで、インターフェイス・モジュール用に4スロット、管理モジュール用に2スロットが設けられている。

 2枚の管理モジュールで冗長構成をとる場合、従来製品ではこの2枚が同時にアクティブ状態となっていたため、いずれかの1枚に障害が発生すると、パフォーマンスが半減するという問題があった。新製品では、1枚がアクティブ、もう1枚は完全なスタンバイ状態で、フルスペックの処理を行う。このため障害が発生したとしても、切り替え後にパフォーマンスが大きく変わることはないという。

(@IT 三木泉)

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エクストリーム ネットワークスの発表資料

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