SAPはもう古いのか? 米ネットスイート日本上陸

2006/3/9

米ネットスイート 社長兼CEO ザック・ネルソン氏

 米ネットスイートは3月8日、全額出資の子会社を設立すると発表した。社長はマイクロソフトの元役員である東貴彦氏。CRM製品をはじめとした同社製品の日本語版のリリースも開始した。

 ネットスイートの特徴は、サービス型ソフトウェア(SaaS:Software as a Service)を標榜(ひょうぼう)し、既存のパッケージソフトウェア市場に挑戦する点にある。現在の直接のライバルはSalesforce.comだ。米国ではすでにネットスイートとSalesforce.comの市場争いがIT業界の1つのトピックとなっている。ただし、日本での同社の知名度が米国ほどには高くないのは事実。まずはSaaSというホスティング型業務ソフトウェアの優位性をアピールすることから市場形成を始める。

 米ネットスイート 社長兼CEO ザック・ネルソン(Zach Nelson)氏は、米IDCの2004年度のデータを引用しながら、「パッケージソフトウェアの市場成長率は年率わずか6%にすぎない」と説明する(ここでいうパッケージソフトウェアには、SAPやシーベルが含まれている)。一方、「サービス型ソフトウェアの成長率はパッケージソフトウェアの4倍」だとするデータ(JMP Securities)も紹介、さまざまな種類のアプリケーションの中で、ERPとCRMの成長率が最も顕著だと指摘した。

 今回日本市場に提供する製品は、「NetSuite CRM」と「NetSuite CRM+」、およびスイート製品である「NetSuite」と「NetSuite Small Business」。スイート製品を導入することで、CRMからERP、EC(電子商取引)を包括するホスティング型の業務システムがWeb上で構築できる。AJAXを採用したダッシュボード的なユーザーインターフェイスによって、組織内のさまざまな立場のユーザーがリアルタイムでデータにアクセスできるのも特長だ。主な導入対象企業の規模は従業員500人以下を想定している。あるいは「1つデータベースで複数のアプリケーションを共有する」(東氏)規模の企業。

 対象企業を中小規模としていることが影響するのかもしれないが、同社のホスティング環境は小規模サーバをグリッド環境にしてリスク分散を図る形態である。「HPの2CPUサーバにRedHatとOracleをインストールしている」とネルソン氏はいう。なお、ネルソン氏によるとSalesforce.comは、サン・マイクロシステムズの大規模サーバでホスティング環境を構築しているという。データセンターの安全性についてネルソン氏は「グリッド環境が最適なのではないか」と話す。

(@IT 谷古宇浩司)

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