2007年以降、携帯電話はHDD搭載が主流に?

2006/3/11

 シーゲート・テクノロジーは3月10日、12Gbytesの容量を持った1インチハードディスクドライブ(HDD)「ST1.3シリーズ」を発表した。2006年第3四半期の出荷開始を予定している。落下時にヘッドを動かすなどして衝撃から自らを守るドロップ・センサー機能や、垂直磁気記録方式を採用した点が特徴。米シーゲート グローバルコンシューマストレージ マーケティングディレクター ロブ・ペイト(Rob Pait)氏は、「1インチHDD市場でも、当社はシェア45%を誇っているが、この製品によってより強固になるだろう」と語り、自信を見せた。

携帯電話を上にST1.3シリーズを乗せて、大きさを比較してみせるペイト氏。「このように小さい携帯電話にも十分搭載できる大きさだ」と強調した
  シーゲートのHDDは、現在ワールドワイドの全HDD市場においてシェア28%で1位であり、出荷台数1億台を突破したという。ペイト氏は、アップルのiTunesを筆頭に大企業がこぞってポータル向けに動画を提供し始めており、「現在は音楽を持ち運ぶのが主流だが、今後はビデオを持ち運ぶ時代になるだろう。そのときには大容量で小さいHDDが必要になる。携帯電話やモバイルデバイスもHDDを搭載するのが主流になるだろう」との見解を示した。

 ST1.3シリーズは、主に携帯電話や音楽・ビデオプレーヤーへの搭載を想定したモデル。シーゲートが現在販売している1インチHDDと比べて、サイズが縦40ミリ×横30ミリ×厚さ5ミリとなり23%の小型化を実現したほか、垂直磁気記録方式を採用したことで容量は50%増加し、消費電力は30%減少した。ペイト氏は、「携帯電話にHDDを搭載すると消費電力が懸念されるというが、携帯型音楽プレーヤーではバッテリ容量の5%未満、ビデオプレーヤーでは1%未満の電力しか消費していない。つまり、携帯プレーヤーの電池持ちに関してHDDが足かせになることはまずないだろう」と説明した。

 対衝撃機能「Seagate G-Force Protection」は、最大150センチから落下しても大丈夫だという。ペイト氏は、HDDが衝撃によって壊れる要因は大きく2つあると指摘。1つ目は、ヘッドがディスク上にあるときに衝撃を受けてディスクをへこませてしまうというもの。2つ目は、ディスク回転中に衝撃を受けることで、モーター内のベアリングが変形してしまうというものだ。この点、ST1.3シリーズでは、9センチ落下した時点で落下を検知し、11センチ落下した時点でヘッドをディスク表面から安全な場所へ移動させ、18センチ落下したときにモーターの回転数を落とし、31センチ落下した時点でHDDの対衝撃の準備が完了するという。この間、0.3秒だとした。これらの対策により、150センチ落下しても衝撃に耐えられる場合が多いという。

米シーゲート グローバルコンシューマストレージ マーケティングディレクター ロブ・ペイト氏
 ペイト氏は、「ST1.3シリーズがメインターゲットとしている携帯電話では、特に衝撃耐性を問われる。このSeagate G-Force Protectionがあれば、彼らのニーズを満足させることができるだろう」と語った。

 ペイト氏は、米Parks Associatesの調査結果を提示。調査では、HDDを搭載したモバイル機器は2006年には約3500万台だが、2011年には約8000万台に達し、約半数がHDDを搭載した携帯電話になると予測している。ペイト氏は、「2006年にCE-ATA(携帯機器用HDDインタフェイス)の規格が固まる予定だ。多くのメーカーをそれを待っている。従って、CE-ATAが固まり次第、HDDを搭載した携帯電話が大量に登場するだろう。当然、ST1.3シリーズもCE-ATA版をリリースする」とし、「当社は直近の四半期で、1インチHDD市場でのシェアは45%となっており、iRiverなどが携帯プレーヤーに採用されている。ST1.3シリーズを搭載した機器は米国のクリスマスシーズンころになるだろうが、さらにシェア拡大を目指していきたい」と抱負を語った。

(@IT 大津心)

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