Symbian OS、7月リリースの新バージョンは1台2.5ドルから

2006/3/25

 シンビアンは3月24日、報道関係者向けの説明会を行い、英シンビアン CEO ナイジェル・クリフォード(Nigel Clifford)氏が同社の現状や今後を説明した。クリフォード氏は、「2006年7月にリリースする予定の次バージョン『Symbian OS v9』ではライセンス体系を3種類に増やし、最も安いライセンスでは1台当たり2.5ドルで提供する予定だ。これにより、スマートフォンと呼ばれるデータ対応携帯電話の分野でもシェアを拡大していきたい」と戦略を語った。

英シンビアン CEO ナイジェル・クリフォード氏
  シンビアンは、ノキアやソニーエリクソン、パナソニックなどが出資する携帯電話専用OSの会社。イギリスで主に開発を行っており、ヨーロッパやアジア(東京、北京、バンガロール)などに拠点を構えている。2002年ころより搭載機種が増加し、2003年には四半期で100万台程度搭載され、2004年前半には1カ月に100万台、2005年には1週間に100万台のSymbian OS搭載機種がリリースされたという。2005年には約34種類のSymbian OS搭載機種がリリースされた。2006年には、60機種がリリースされる予定で、開発中の物も同じくらいあるという。

 現在の同社は、携帯電話メーカー13社とライセンス契約を結んでおり、アプリケーション開発パートナーは300社、4600種類存在する。クリフォード氏は「2005年に発売された3G携帯電話の35%がSymbian OSを搭載しており、特に成功している。今後、マスマーケティングを意識した新バージョン『Symbian OS v9』によって、3G携帯電話やスマートフォンの分野のシェアをさらに拡大していきたい」と意気込みを語った。

 同社の損益分岐点は、2005年の実績値では出荷台数3395万台程度であり、2005年は5880万台でこれを大きく上回った。しかし、2006年7月にリリースする予定の次期バージョン「Symbian OS v9」では価格体系を一新。低コストで多くの出荷台数を見込めるセグメントに対して新たに訴求していくとした。新しい価格体系では、200万台までが1台当たり7.25ドル、それ以上の場合は5ドル、さらにボリュームを多く出す場合には最も安い価格で1台当たり2.5ドルまで下がるという。

 シンビアンでは、今後の携帯電話市場ではスマートフォンと呼ばれるデータ対応携帯電話の市場が拡大すると予測。これらをターゲットに、より速く・低コストで開発できるシングルコアプラットフォームをフリースケールと共同で開発するとした。

Symbian OSを搭載した携帯電話の出荷台数推移。2002年ころから急増しているのが分かる
  日本市場では、キャリアではNTTドコモとボーダフォンと提携。メーカー別では、三菱電機やシャープ、富士通、ソニーエリクソンなどの携帯電話に搭載されているという。日本の売り上げはシンビアン全体の12%を占めるとし、「日本は2005年に一番伸びた市場だった。3G携帯電話の普及度など、世界の携帯電話業界をけん引しており、日本市場の動向が6カ月〜12カ月後にそのほかの国で起きているのが現状だ。最も重要な市場だといえる」(クリフォード氏)と説明した。同社では、日本の携帯電話メーカーの意見をより多く取り入れるべく、携帯電話メーカー各社やNTTドコモなどとの間にレビューボードを作り、定期的に開催しているという。

 シンビアン日本法人 代表取締役社長 久晴彦氏は、「日本では順調に採用メーカーが増えている。直近では、ソニーエリクソンが初めて出すFOMA端末にSymbian OSを採用した。Symbian OSは、非常に短期間に開発できる点が特徴だ。また、精力的にマニュアルを日本語化しているので、携帯電話メーカーの技術者は精力的に勉強してほしい」と語った。また、久氏は昨今話題になっているPCの情報漏えい問題に触れ、「Symbian OSには技術的弱点が見つかっていない。海外ではソフトウェアをインストールする際には3回確認画面が現れるなど、かなりセキュアな仕様になっていると思う。日本の携帯電話では、そもそも外部ソフトウェアをインストールする機能が搭載されていないので『絶対安全だ』といい切ってもよいのではないだろうか」とコメントした。

(@IT 大津心)

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