2010年には2億台のHDDを出荷〜日立GST

2006/4/13

 日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は4月12日、同社 取締役社長 田宮敏彦氏が事業内容を説明したほか、ハードディスク「Deskstar」シリーズに、プラッタ(円板)1枚当たり160Gbytesを実現した新製品「T7K500」を2006年7〜9月期に量産出荷すると発表した。

日立GST 取締役社長 田宮敏彦氏
 従来の500Gbytesモデルである「7K500」は、1プラッタ当たり100Gbytes×5枚構成で500Gbytesの容量を実現していたが、今回の新製品では記録密度を118Gbytes/平方インチまで高めることに成功。プラッタ1枚当たりの容量を160Gbytesまで拡大することで3枚構成での500Gbytesを実現した。プラッタ数が5枚から3枚に減ることで量産性が高まるほか、コスト削減や信頼性の向上、OEMベンダの認定試験などの効率化にも役立つという。田宮氏は、「年内には2.5インチ製品で垂直磁気記録技術を採用したモデルをリリースしたい。現在のモデルの最大容量が120Gbytesなので、それ以上にはなるだろう」と語り、2.5インチモデルでも高密度化を実現したモデルをリリースするとした。

 日立GSTの2005年の業績は、売り上げが4965億円で前年比6%増で業界第2位。出荷台数は前年比25%増の5840万台、2005年第4四半期には黒字を確保したとした。田宮氏は「ハードディスク搭載のDVDレコーダの普及や携帯音楽プレーヤが出荷数を伸ばした。黒字化には、売り上げの上昇に加えて、歩留まりを向上させるなどコスト削減効果も貢献している」と説明した。

 ハードディスク市場の順調さに応えるために、同社では積極的に投資を行っているという。2005年の研究開発投資は約550億円、設備投資は約670億円に上る。中国の深センに総額5億ドルの投資を計画し、ハードディスク量産拠点を建設。1900万枚以上を生産したという。この工場の半径60キロ以内には部品生産拠点とサプライチェーンを備え、深セン市行政当局の協力もあることから、今後深セン市での工場を本格化させるとした。

 今後の市場予測では、今後も継続的に記録密度の向上が図られ、2年間で倍の密度を達成できると予測。さらに情報家電の家庭への浸透により、2008年には全ハードディスク出荷台数の約24%が情報家電機器向けになるとした。これらの理由から、今後さらに需要が拡大し、2005年の年間台数3億8000万台から5年後には20億台に達し、日立GSTの2010年の出荷台数は2億台に達すると予測した。

 田宮氏は「ノートPCの需要拡大による2.5インチディスクの伸長に加え、ハイビジョン放送などの登場でハードディスクレコーダーはより大容量化し、携帯電話や携帯音楽端末などにもハードディスクが搭載されるため、今後数年はハードディスク売り上げは順調に伸びるだろう」と予測した。

(@IT 大津心)

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