これからはオープンソースからオープンサービスの時代へ〜サン

2006/4/21

 サン・マイクロシステムズは4月20日、セミナー「Sun Business .Next」を開催し、米サン エグゼクティブ・バイスプレジデント&CTO グレッグ・パパドポラス(Greg Papadopoulos)氏などが基調講演を行った。

米サン エグゼクティブ・バイスプレジデント&CTO グレッグ・パパドポラス氏
  冒頭、4月にサン日本法人の代表取締役社長に就任したばかりの末次朝彦氏が登壇し、来日できなかった米サン CEO スコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏やCOO ジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏のコメントを紹介。マクニーリ氏は2005年のトピックとしてシービヨンドとストレージテックの買収を挙げ、これが同社の揚げるキーワード「共有」「コミュニティ」「参加」に必要だったと説明した。末次氏はこれを受けて、「企業の課題はTCO削減はもちろんのことビジネス拡大のためのITシステムが必要となった。しかし、いままでとは違って本質を見抜き、企業の社会的責任も果たさなくてはならない。これをサンがどうやって実現しようとしているのかをこのイベントで知ってほしい」と語った。

 パパドポラス氏は、「大きく分けて2つのことを話したい。1つ目はサンの昨今の状況について、2つ目はITの主な潮流として“ソフトウェアをサービスとしてとらえることが重要である”という点だ」と前置きした。まず、現在の同社は「パートナーに依存する度合いが強い。サンは革新を広めることを重要視しており、これはコミュニティ形成によって飛躍的な速度で広がっている」と説明。さらに「現在、確実に転換期にきている。コンシューマではブログの登場によって、情報を入手するだけの時代から参加する時代へ確実に変化した」と強調した。この傾向はエンタープライズ分野でも同様で、コラボレーションや情報共有といった分野で参加型のサービスが増加しているとした。

 サンは現在、「UltraSPARC」「Solaris」「ストレージテック」「Java」という4つのブランドに注力しており、それぞれにオープンコミュニティがかかわり、そのコミュニティを活性化させることがイノベーションに大きく貢献しているとした。こういったコミュニティ作りは経済的なリターンも伴うという。「経済的な例は、Javaのケースを考えれば明らかだろう。いまやJava対応端末は30億台出荷され、Java対応のゲーム市場は30億ドル市場といわれている」(パパドポラス氏)とした。

ソフトとインタネット上のサービスの違い
  次にパパドポラス氏はオープンソースソフトウェアについて言及。同氏は「最近、スタートアップ企業においてSolarisへの興味が増している。米国でSNSを提供しているNingという企業が調査した結果、Sun+AMD+Solaris 10gのケースとWhite Box+Intel+Red Hat Linuxの組み合わせでは、Red Hatの方が2倍以上価格が高かった。サンは高いと思われているが、実はRed Hatより安いのだ。Red Hatの方がサポート料金が高いことが要因だ」と説明した。

 そして同氏は「オープンソースだから開発が早いというのは幻想だ」と指摘する。ソフトウェア開発では、開発→テスト→リリース→デバッグ→開発……というサイクルを繰り返した後でリリースされ、その後ユーザーがPCにインストールしてバグを発見し……という過程を経る。一方、インターネット上で提供されているサービスでは、開発→テストの後、すぐ実サービスと同じ環境下で実行およびテストができ、さらにサービス提供時にはサーバ上で公開すればよいので、かなりの工程が短縮される。パパドポラス氏は「こういったAmazonやYahoo!、Salesforceなどのようなネットワークを介して提供される形態のサービスが勢いを増している。今後もこのビジネスモデルは拡大するため、注目する必要がある。近い未来、ソフトウェア配信の主流になるだろう」と予測した。

(@IT 大津心)

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Sun Business .Next

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