PDFとFlashの統合プラットフォームは婚約指輪と同じ?

2006/4/22

 アドビ システムズは4月21日、報道関係者向けの会見を行い、米アドビ システムズ CEO ブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏が2006年第1四半期の業績内容や、2005年に買収したマクロメディアとの連携状況などを説明した。

米アドビ システムズ CEO ブルース・チゼン氏
  アドビの2006年第1四半期(2005年12月〜2006年2月)は、売上高が前年同期の4億7290万ドルと比較して39%増の6億5550万ドルを達成し、同社創立以来最高額となった。営業利益は前年同期比24%減の1億3000万ドル、純利益が同31%減の1億510万ドルだった。チゼン氏は第1四半期は予想以上の売り上げだったと前置きしたうえで好調だった要因を、「1つ目はPhotoshopなどのクリエイティブスイートが好調だったことだ。DreamWeaverやFlashも好調だった。2点目はAcrobatとPDFが多くの企業や官公庁などに広く採用されたことだ。さらに多くの国や企業で標準になった。この2点がポイントとなって売り上げが拡大したと考えている」と説明した。

 一方で営業利益と純利益が前年より減った理由についてチゼン氏は、「GAAP(一般会計)の制度では、1回のみの経費も計上しなければならない。このため、マクロメディア買収費用や他社の技術買収費用も含まれている。Non GAAPであれば、前年度比48%増だ。当初、1株当たり28〜30セントの利益を想定していたが、Non GAAPであれば1株当たり32セントの利益になるので、その意味では大成功だったといえる」とコメントした。

 売り上げの内訳で最も大きい割り合いを占めたのが、クリエイティブスイートや旧マクロメディアのスタジオといったクリエイティブ製品群で58%。2番目に多かったのがAcrobatやBreezeといったナレッジワーカー製品で25%。3番目はLifecycleやFlexなどのエンタープライズ製品群で7%。4番目がモバイル分野で1%、ポストスクリプトなどその他が8%だった。チゼン氏は、「旧マクロメディア製品は前年比39%増で好調だった。アドビ製品だけでも2ケタ増だっただろう。モバイル分野はマクロメディア買収時の会計処理で1%という数字だったが、本来はもっと大きいはずだ。今後の伸びに期待している」と語った。

 次に、マクロメディア製品を既存ラインアップに統合した「Adobe エンゲージメント プラットフォーム」を解説。チゼン氏は、「エンゲージメント プラットフォームはある意味婚約指輪と同じ意味だ。情報と双方向性を作っていくことだからだ。現在はかつてないほど情報が氾濫しており、個人でも政府でも誰でも簡単に情報を収集できるようになった。従って、プラットフォームは婚約指輪と同じくらいのインパクトが必要だ。AdobeとFlashを統合すればそのくらいのインパクトを実現できるはずだ。すでに導入している米ジャガーやYahoo!Mapsのサイトでぜひ体験してほしい」とアピールした。

 エンゲージメント プラットフォームのメリットは「PDFの高いセキュリティとFlashの高い表現力」の融合にあるという。例えば、住宅ローン申請書の場合、銀行は高いセキュリティを求め、ユーザーはリッチなユーザーインターフェイスを希望する。この場合はまさにエンゲージメント プラットフォームのメリットを享受できるとした。新たにPDFとFlashの両方を閲覧できるプレーヤーを開発するか、それぞれにプラグインを追加して閲覧できるようにするかは現在のところ決まっていないとしたが、「今年の年末までにはユーザーにこの素晴らしい体験をしてほしい」(チゼン氏)とコメントし、年内リリースの予定であることを明らかにした。

 また、次期Windowsである「Windows Vista」の画像処理機能については「競合にはならない」(チゼン氏)と断言。PhotoShopがプロシューマーやプロ向けの製品であるのに対して、Windows Vistaは初心者向けであるという理由からだ。モバイル市場については、「日本が世界をリードしており、非常に重要な市場だ」と説明。日本のキャリアや携帯電話メーカーと提携し、Flashやエンゲージメント プラットフォームの搭載を推進していきたいという。すでに、FlashCastを採用したNTTドコモのニュース配信サービス「iチャンネル」は契約数が200万を突破しており、「iチャネルはパートナーとの協業による成功例の1つだ」と語り、今後日本企業とのパートナー関係を強化する方針を示した。

(@IT 大津心)

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アドビ システムズ

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