通信事業者に"攻めのIMS"を提供、ルーセント

2006/5/11

 日本ルーセント・テクノロジーは5月10日、通信事業者に対して同社が推進中のIMS(IP Multimedia Subsystem)ソリューションを、報道関係者やアナリストに説明した。

日本ルーセントの藤田聰代表取締役社長

 藤田聰代表取締役社長は、「あらゆる通信事業者がIMSへの移行を考えている。ルーセントはNTT、KDDI、ソフトバンクBB/日本テレコムの主要3グループとのビジネス実績があるが、これを基盤に、通信事業者が収益を向上させることのできる機会を提供していきたい」と語った。

 ルーセントでは、このIMSソリューションにおいて、単純な音声とデータの統合に留まることなく、有線と無線の融合、アプリケーション、音声、電子メールの融合といったあらゆる意味でのサービスコンバージェンス(サービス統合)を提供していきたいとしている。

 従来型の固定音声サービスは、携帯電話やVoIPに市場を侵食されてきている。このため通信事業者は、動画や音声をバンドルするサービスを提供しているが、バンドルサービスは通信事業者の収入を低下させてしまう。そこでルーセントでは、有線と無線を広くカバーし、マルチメディアで多様なアプリケーションを提供できる基盤を提供していきたいとしている。

ルーセントのPDA用SIPクライアントで位置情報アプリを表示しているところ

 ルーセントの提供するIMSは、SIPに対する拡張をベースとし、これに統合的なID管理とポリシー管理を適用している。VoIPやビデオ会議、インスタント・メッセンジャー、オンラインゲームなどのSIPアプリケーションが、ばらばらに利用されるのではなく、あたかも単一のセッションで動作しているかのように、統合的に、一貫性を保ちながら動作するようになっている。

 例えばインスタント・メッセンジャーでやり取りしているユーザー同士が、ログイン操作や事前の設定をすることなく、即座にオンラインゲームでの対戦を開始できるといった使い勝手を実現する。PC、携帯電話、PDAなど、ネットワーク接続されたあらゆる端末にわたって同じサービスが利用でき、ユニファイド・メッセージングの実現によって、ユーザーの状況に応じた最適な端末を選んでコミュニケーションが行えるようにしている。

 すでに米AT&T、米ベル・サウス、米シンギュラーなどが、同社のIMSソリューションを採用しているという。

 同社では統合セッション管理サーバや、SIPクライアント/インターネット・メッセンジャー/VoIPアプリケーションを自社で提供している。しかし、このソリューションは外部アプリケーションの利用を排除するものではないという。SIPには拡張を加えているが、この拡張については標準化を推進しており、他社のアプリケーションが標準化された拡張プロトコルを使ってアプリケーションを開発することは簡単にできるとしている。

(@IT 三木泉)

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日本ルーセント・テクノロジー

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