NTTデータが増収増益、売上高1兆円は見えたか?

2006/5/11

 NTTデータが5月10日に発表した2006年3月期連結決算は、売上高が6.2%増の9072億円となった。近年の低調傾向から抜け出し、大幅な増収増益を記録。中期経営計画の最終期である今期は売上高1兆円、営業利益750億円を目指す。

NTTデータ 代表取締役社長の浜口友一氏

 NTTデータ 代表取締役社長の浜口友一氏は「ようやくここまで来た。景気も上向いてきたので中期経営計画の目標を達成できるよう頑張りたい」と話し、目標達成に自信を見せた。2006年3月期の連結売上高は前年同期比531億円増。金融機関向けアウトソーシング事業の拡大や、製造・流通向けシステムの新規受注の増加が寄与した。営業利益は19.3%アップの468億円。経常利益は30.7%増の420億円だった。当期純利益は40.2%増の281億円。

 受注高は2003年3月期以降、減少傾向だったが10%増の7236億円と反転した。NTTデータは「中央省庁向け大規模システムの更改受注や、製造・流通向けシステムの新規受注の拡大」を理由に挙げている。

 今期の売上高目標は1兆円。公共、金融、法人の各分野を伸ばすことで達成を目指す。公共は予算全体は縮小傾向だが、「IT新改革戦略」などによる新しい情報化投資が発生し、受注高が増加すると見ている。大規模システムの更改受注で収益基盤を確保しつつ、新たな情報化投資の需要を探る。

 金融では各社の業績回復でIT投資意欲は強いとの認識。基幹系ビジネスや決済ネットワークに拡大の余地があり、情報系システムでも業態横断的な展開が見込めるとしている。法人ではテレコム、メディアなどの既存顧客に対して、ビジネスモデル転換や企業価値を高める提案を行い、IT投資額に占めるNTTデータのシェアを高める取り組みを行う。製造や運輸に対してはグローバルSCMやグループ経営、内部統制ソリューションを提案し、基幹系システム受託の拡大を目指す。電子マネーや交通系ICカードなど企業間を連携させるシステムの提案も積極的に行う。

 企業の合併・買収(M&A)も引き続いて積極的に進める。NTTデータは従来、企業の情報システム子会社に対するM&Aが多かったが、ここ数年はITサービス、コンサルティングへM&Aの対象を拡大していた。2006年3月期は、海外でビジネス展開する日系企業を支援するため、Cap Geminiとの提携やThe Revere Groupの買収を実施。今期は北米や欧州、アジアの中堅システム・インテグレータを買収することなどでさらに海外拠点を増やすという。将来的には日系企業だけでなく、現地企業向けビジネスの拡大も目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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NTTデータの発表資料

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