iPod携帯は「?」だが最先端機能は投入、ソフトバンク

2006/5/19

 ソフトバンクは5月18日、携帯電話端末の共同開発などを目的としてボーダフォンと合弁会社を設立すると発表した。両社の合意を終えて、ボーダフォングループCEO アルン・サリーン(Arun Sarin)氏、ボーダフォングループヨーロッパのCEOに就任したビル・モロー(Bill Morrow)氏(元ボーダフォン日本法人社長)とともに、ソフトバンクグループ代表として記者会見に臨んだ孫正義氏は、噂されるiPod携帯については口を閉ざしたものの、ボーダフォングループとともに最先端の携帯電話端末を開発していくと話した。

5月末発売のワンセグ携帯電話端末を見せるボーダフォングループCEO アルン・サリーン氏(左)とソフトバンクグループ代表孫正義氏(右)

 ソフトバンクとボーダフォングループは、資本金最大7800万ユーロ(110億円)の合弁会社を、対等出資で設立する。取締役には両社から4名ずつを派遣。この中には孫氏、サリーン氏、モロー氏も含まれる。

 この合弁会社を通じ、両社は携帯電話端末を共同開発し、共同で調達する。ただし、すべての端末を共同開発するわけではなく、「戦略的なものについて開発する」(孫氏)。共同開発端末がボーダフォングループ内でどれだけ広く利用されるかも各国のパートナー次第。

 それでも孫氏は、「日本だけで見ると(ボーダフォンは)ユーザーが少なく、端末のボリュームが出せない。しかし世界でのボリュームを足すと、スケールメリットが出せて端末コストが下がる」とし、共同開発をできるだけ幅広く推進していきたい考えだ。

 新たな合弁会社は、コンテンツの共同調達も行う。「スポーツはグローバル化が進んでいる」という孫氏はスポーツ関連コンテンツはもちろん、ドラマなどについても共同調達の対象になり得ると話した。また、ゲーム機で日本発のコンテンツが世界中に流通したのと同様なことを、携帯の世界で再現したいとも語った。

 興味深いのは、合弁会社のもう1つの役割とされる「新しいサービスプラットフォーム・基盤ソフトウェアの共同開発」。これに関する質問に対し、孫氏は「ポータルとミドルウェアを開発する。詳細はいえない。非常に新しい、戦略的なもの」としか話そうとしなかった。

 一部で報道されたアップルコンピュータとの提携によるiPod携帯電話端末の投入については、「憶測に基づく記事であり、憶測には一切コメントしない」とした孫社長。しかしその一方で、ボーダフォン、そしてその前身であるJ-フォンが、「SkyWalker」や「写メール」など、日本初、携帯初の機能を端末に組み込んできた歴史を紹介、「今後も最先端の機能を投入していく」と宣言した。さらに、「これまでの携帯は音声、文字が中心だったが、今後はブロードバンド・コンテンツが中心になる」とも語った。iPod携帯が(もし実現すれば)このシナリオに合致する最適解の1つであることは間違いない。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
ソフトバンクの合弁会社設立に関する発表資料

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