「システム管理はさらに自律化へ」と語るマイクロソフト

2006/5/24

 マイクロソフトは5月23日、東京都内で「Microsoft Management Summit 2006 Japan」を開催した。同社コーポレートバイスプレジデントのキリル・タタリノフ(Kiril Tatarinov)氏はこの中で、マイクロソフトの管理製品の進化について説明した。

マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントのキリル・タタリノフ氏

 タタリノフ氏は、マイクロソフトが数年来進めてきたDynamic Systems Initiative(DSI)が目指してきたシステムの複雑性の解消や俊敏性の確保といった目標が、着実に達成されつつあることを強調、さらに2007年にかけて提供される新製品で、マイクロソフト製品の提供する管理機能は、新たな段階に到達すると説明した。

 まずDSIの重要な要素である仮想化についてタタリノフ氏は、「マイクロソフトの提供する仮想化は、競合他社のものとは異なる」と語った。Microsoft Virtual Serverで提供しているOSの仮想化に加え、アプリケーションの仮想化が俊敏さを実現するためのかぎとなるといい、米マイクロソフトが米国時間5月22日に発表したばかりの米ソフトリシティ買収について話した。

 ソフトリシティの製品では、個々のPCが、サーバ上で各アプリケーションを動作させるのに必要な一部のコードだけをダウンロードしてアプリケーションを実行する。これにより、「権利やポリシーに従ったアプリケーション利用の管理が可能になる。真にオンデマンドでアプリケーションを利用できるようになる」(タタリノフ氏)

2点目はモデルに基づくポリシーの適用。これについては、同社が提唱してきたSystem Definition Model(SDM)により、開発ツールなどとの連携のうえで、ベストプラクティスを簡単にアプリケーションやシステムに取り込むことが可能になってきたとタタリノフ氏は話した。「WS-Managementはすでに標準となっているが、SDMも業界標準になるだろう」(タタリノフ氏)

3点目は「ナレッジに基づく(knowledge-driven)マネジメント」。Microsoft Operations Manager(MOM) 2005に適用できる管理パックは58種に増加し、ナレッジを多様なアプリケーションで生かせる環境が整ってきたという。

 タタリノフ氏は、今後の同社による管理製品の展開についても紹介した。

 まず今年夏にリリース予定の「Systems Management Server(SMS) 2003 R2」は、構成管理製品であるSMS 2003のマイナー・バージョンアップとして、脆弱性評価のためのスキャン機能や、ソフトウェア、ハードウェアのアップデートの一元化といった改善を実現する。これに続いて2007年にはSystems Center Configuration Manager 2007と改称された新バージョンが登場。こちらは、セキュリティ向上のための検疫機能の搭載や、OS展開機能の統合などを特徴とする。

 また、2006年中にリリース予定の運用管理製品MOM新バージョン「System Center Operations manager 2007」では、サーバ単位でなく、サービスやサービス・コンポーネント単位での管理を実現し、大きな進化を遂げるという。管理者はオペレーションニーズに応じて論理的にサービス間の連携をビューとして設計し、それぞれの論理コンポーネントに実際の管理対象を割り当てることで、ビジネスに与える影響を十分に考慮した管理が可能になるとタタリノフ氏は話した。

(@IT 三木泉)

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