懐かしい技術で次世代企業データセンタを救うスイッチ

2006/5/25

 フォーステンネットワークスは5月24日、サーバ間接続にも利用できるデータセンタ向けスイッチ「S2410シリーズ」と、Snortによる不正侵入検知機能を10Gbpsで実行できるセキュリティスイッチ「Pシリーズ」を発表した。

 S2410は1Uサイズに20あるいは24の10Gbpsポートを組み込んだボックス型スイッチ。同社はS50 という1Gbpsポートで構成した製品をすでに提供しているが、今回は10Gbpsのみに絞っている。ポート単価は約10万円となっている。

 S2410では、InfiniBandに匹敵する低遅延が最大の特徴。調査機関トリー・グループが実施したテストでは、イーサネットフレームが64〜10240バイトまですべてのフレームサイズにわたり、遅延は210〜311ナノ秒にとどまったという。

コーポレート・マーケティング担当副社長のスティーブ・ギャリソン氏

 実は、この低遅延を実現している最大の要因は、イーサネットスイッチの初期を知っている人なら懐かしいカットスルー・スイッチングという技術。「スイッチのマルチレイヤ化などによって忘れ去られてしまった技術だが、レイヤ2に専念する特定用途のスイッチのためにはちょうどいいことに着目した」とコーポレート・マーケティング担当副社長のスティーブ・ギャリソン氏は話す。

 高速スイッチではラインカード単位でASICを持つものが多いが、この製品では単一ASICで全ポートの通信を制御する設計になっていることも、遅延発生要因を減らすことに一役買っている。

 科学技術分野のグリッド・コンピューティングなどにおけるサーバやストレージ間接続では現在、Infinibandが使われているケースが多いが、ギャリソン氏は、「今後科学技術ユーザーはInfinibandを使い続ける人たちと、S2410のような低遅延イーサネットスイッチを使い始める人たちの2通りに分かれるだろう」という。

 同社がS2410シリーズで、科学技術分野よりも潜在的に大きな市場として期待しているのは、企業データセンタの統合ニーズ。低遅延と高いポート密度、低価格を武器に、高速化を要求される次世代企業データセンタにおいて、サーバ、ストレージ間相互接続のための構成要素となることを目指す。

 フォーステンはまた、同社としては初のセキュリティ製品として、10Gbpsのラインレートで不正侵入検知・防御を実行するというスイッチ「Pシリーズ」を発表した。堅牢化したLinuxをOSとして搭載する同シリーズは、オープンソースの不正侵入検知・防御システムSnortを基にパケットを識別し、選択的にブロックする。

 Pシリーズでは複数のASICを並列的に用いることで、ポリシーに基づくパケットのチェックの高速化を図ったという。ギャリソン氏は、「セキュリティは当社にとって新しい分野であり、最初は勉強の年」としながらも、同シリーズで今年度に数百万ドル程度の売り上げは獲得したいと話した。

(@IT 三木泉)

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フォーステン・ネットワークスの発表資料

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