EclipseベースのJBuilder、2006年第4四半期に登場予定

2006/05/26

ボーランド・オーストラリア アジアパシフィック地域担当プロダクトディレクター マルコム・グローヴス氏

 ボーランドは5月25日、都内で第1回「ボーランド デベロッパー キャンプ」を開催した。IDE事業分割後、同社は社内にデベロッパーツールズ事業部を立ち上げ、分割したIDE事業を引き継ぐ体制を固めている。IDE事業の詳細な行方(どの企業が引き受け先になるかなど)は現時点では明らかではないが、同事業で扱う開発ツールのロードマップは2008年ごろまで見えている状況だ。今回のイベントを通じて同社は、2006年第4四半期に登場するEclipseベースのJBuilder(コードネーム:Peloton)の技術プレビューを含め、開発ツール群の行方を示した。

 来日したボーランド・オーストラリア アジアパシフィック地域担当プロダクトディレクター マルコム・グローヴス(Malcolm Gloves)氏は分割したIDE事業(コードネームでDevCoと呼ばれている)について、徹底して開発者(Developer)にフォーカスするとした。DevCoが扱う開発ツールは、JBuiler、Delphi、C++Builder、InterBase。対して、ボーランド本体は、アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント(ALM)製品に注力しながら、DevCoの開発ツール群を側面から支援することになる。

 今回のイベントの目玉であるJBuilderの次期バージョン(コードネーム:Peloton)は、ボーランドとしては初めてEclipseのフレームワーク上で動作する製品である。このPelotonをリリースするうえで、同社が最も注意を払っているのは、既存のJBuilderで構築したプロジェクトをPelotonにスムーズに移行できるようにする点だろう。同社はPelotonの開発と並行して、JBuilder 2006のアップデートを行い、また、JBuilder 2006 Foundationの無償提供を行いながら、2006年第4四半期のリリースに備えている。

 Pelotonの大きな特徴は、Eclipse上でJBulderが得意としてきた大規模な分散開発の機能が充実している点だ。ビジュアル対応も強みといえるだろう。分散した開発チーム間のリアルタイム共同編集や、デバッグを可能にするピアツーピアコラボレーション機能、EJB 3を含むJava Enterprise 5対応のビジュアル開発環境の実装、SwingおよびSWTに対応したビジュアルGUI開発機能が組み込まれている。

 Peloton以降のJBuilderは、Eclipseをはじめとしたオープンソースの開発ツールやフレームワークを積極的に活用することを前提とした思想で開発作業が進められる予定である。また、ボーランド以外のALM製品の統合強化も計画している。 Pelotonの登場は、オープンソース化の波が開発ツールベンダ大手であるボーランドに大きな影響を及ぼした証としてIT業界の記録に残ることになりそうだ。

(@IT 谷古宇浩司)

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