MSがWindows CE 6.0ベータ版提供、テーマは「制約からの解放」

2006/6/1

 マイクロソフトは5月31日、組み込みOSの最新版「Windows CE 6.0」のベータ版を国内の開発者向けに提供開始した。同日開催したセミナー「Microsoft Mobile & Embedded DevCon 2006」ではVisual Studio 2005を使ってWindows CE 6.0のOSイメージを構成するデモンストレーションを披露。開発者の生産性を向上させながら、幅広いデバイスで利用できるWindows CE 6.0の特徴を説明した。

米マイクロソフトのモバイル&エンベデッドデバイス ジェネラルマネージャ ミッシェル・フリード氏

 Windows CEは登場して今年で10周年。米マイクロソフトのモバイル&エンベデッドデバイス ジェネラルマネージャ ミッシェル・フリード氏はWindows CE 6.0について「カーネルを大幅に改良した」として、「制約からの解放」と「開発者の生産性向上」を特徴として説明した。

 CE 6.0では従来32だった同時稼働可能なプロセスの数を一気に3万2000まで増やした。各プロセスの仮想メモリも32MBから2GBまで拡張した。シニアテクニカルプロダクトマネージャのマイク・ホール氏は「注目してもらいたいのは、これほどの機能向上をしながらもリアルタイム性能には影響を及ぼしていないことだ」と語り、CE 6.0が産業用ロボットや医療機器、製造機器など幅広いデバイスで利用できることを強調した。

 CE 6.0では、Visual Studio 2005のプラグインとして利用可能な開発環境「Platform Builder 6」が用意される。Visual Studio 2005上でPlatform Builder 6を利用し、CE 6.0のOSイメージを構築可能。ホール氏はセミナーの基調講演でPlatform Builder 6を使ったデモを行った。Visual Studio 2005を開発ツールにすることで「開発者は組み込み開発のプログラミングを勉強しなおすことなく、デスクトップアプリケーション、サーバアプリケーションと一貫して組み込みアプリケーションを開発できる」(ホール氏)。

 ホール氏は米国で5月に発表した小型デバイス向けの新OS「.NET Micro Framework」についても説明した。.NET Micro Frameworkはコンピュータと連携する腕時計やリモコンなどに利用可能なOS。OS全体のフットプリントは300KB。ARMプロセッサで稼働する。ホール氏は「OS全体がマネージドコードで構成されている」と説明した。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料(5月10日付、米国資料)

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