KDDIとBT、海外展開する日系企業向けアウトソーシングサービス

2006/6/27

 KDDIと英ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ・ピーエルシー(BT)は6月26日、主にグローバル展開している日系企業向けに通信サービスから運用サービスまでを一括で請け負うアウトソーシングサービスを提供する合弁会社「株式会社KDDI&BTソリューションズ(仮称)」を,、8月1日付で設立することで合意したと発表した。

 新会社の出資比率は、KDDIとBTが50%ずつ分担する。代表取締役 CEOには現KDDI シニアアドバイザー 舘野修氏が、執行役員 COOに現BTジャパン 代表取締役社長のイアン・プルフォード(Ian Pulford)氏が就任する。資本金は15億円で、所在地は現BTジャパンのある東京赤坂に、従業員は約100名となる予定だ。

左から、BTグローバルサービス CEO アンディ・グリーン氏、KDDI 代表取締役社長兼会長 小野寺正氏
 新会社には、KDDIとBTからそれぞれグローバルネットワークサービス事業を分割して新会社に移管する。BTグローバルサービス CEO アンディ・グリーン(Andy Green)氏は、「当初はBTとKDDIの顧客を持ち寄って、150社を対象にサービス提供を始める予定。日本のアウトソーシング市場規模は約900億ドル規模で、そのうちネットワーク中心のものは100億ドル強と予測している。このうち約10%に当たる10億ドルを目標にしたい」と語った。

 新会社は主に海外で事業展開している日本企業に対して、ネットワークインフラから運用サービスなどのアウトソーシングサービスまでを一環して提供する。KDDI 代表取締役社長兼会長 小野寺正氏は、「当社は海外でアウトソーシングサービスを提供していないので、BTのノウハウを提供してもらう。BTは日本市場における当社の基盤やブランドを手に入れるメリットがある。この合弁会社設立によって、相互補完の関係が成立した」と語った。

 実際、海外展開している日系企業に対して、KDDIは主にネットワークインフラだけを提供していたが、「ネットワークだけでなく、ソリューションサービスやサーバ構築なども含めたアウトソース需要が顕在化してきている。従来のルータや回線に加えて、サーバ構築も引き受けるといったイメージだ」(小野寺氏)という要望の変化を踏まえ、欧米で広くアウトソーシングサービスを提供しているBTのノウハウを提供するというもの。逆にBTへは、KDDIが日本市場でのサポートを受け持つ。小野寺氏は、「日本ではKDDIが中心となってサービスを提供し、欧州などではBTが主体となってサービスを提供するイメージになってくる。アジアなどでは、KDDIとBTの双方のネットワークを利用することになるだろう」と説明した。

 グリーン氏は合弁会社設立の背景について、「ほかの国々では、当社が単独でサービス提供するケースがほとんどだが、日本市場は非常に特異であり、欧州とは相当違う。これは、欧州とアジア、欧州と米国との違いとは別格の違いだった。従って、当社は日本市場に強いKDDIと合弁会社を設立して対応するという選択をした」と説明。今後の展開については、「BTとKDDI、ともにモバイル事業も手掛けている。これらを応用したほかの分野における協力関係にも進出していきたい」と語り、多分野に渡って協力を検討していることを明らかにした。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
KDDIの発表資料

[関連記事]
「ケータイでググれる時代に」、KDDIとグーグルが提携 (@ITNews)
KDDIが海を越える広域イーサネット、DION漏えいの新事実も (@ITNews)
「DION」400万人分のユーザー情報流出 KDDI小野寺社長が謝罪 (ITmedia)
NTTデータ、サーバなしで接続できるVPN技術を開発 (@ITNews)
1端末105円、パワードコムが広域イーサにモバイル接続追加 (@ITNews)
KDDIがパワードコム吸収合併、NTT対抗で決断 (@ITNews)
次世代ソフトイーサ「PacketiX VPN 2.0」が登場 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)