サイボウズがSaaS製品を検討、来春にもSFA提供か

2006/7/1

 サイボウズの代表取締役社長 青野慶久氏は6月30日会見し、ソフトウェアをサービスとしてネットワーク経由で提供する「SaaS」(Software as a Service)に本格的に取り組む考えを示した。出資、買収したグループ企業と協力し、主力のグループウェア製品にSaaS対応の機能を付加する。第1弾としてSaaS型のSFA(営業支援)アプリケーションを開発し、中堅・大企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン 2」と連携させる。2007年2月以降の早い時期に提供開始する。

サイボウズの代表取締役社長 青野慶久氏(右)、ボウズマン(中)、取締役副社長 津幡靖久氏

 青野氏はソフトウェアに対する顧客の要望を「ソフトウェアを作るだけでは満足しない。ソフトウェアをサービスにまで高めて提供するSaaSが求められる」と分析。そのうえで「サイボウズ単体ではSaaS型アプリケーションは提供できない。資本提携などを行ったグループ会社と協力して提供できるようにする」と話した。

 サイボウズは中堅向けグループウェア「サイボウズ Office 6」をASP形式で一部提供している。ASPのライセンスは、2006年1月期に前期比69%増の勢いで伸びているといい、「パッケージではなくサービスとしてソフトウェアを導入する方法が次の成長施策になる」(青野氏)と判断した。

 第1弾製品は、100%出資するインテグラート・ビジネスシステムが開発したSFAソフトウェア「WebHello」のノウハウを基に、サイボウズ ガルーン 2と連携するSaaS型アプリケーションを開発する。グループ会社のクロス・ヘッド、ブリングアップも開発に協力する。サイボウズの取締役副社長 津幡靖久氏は「米Salesforce.comの成功もあり、ASP型で提供するSFAには将来性がある」と話した。

 また、サイボウズは顧客が保有するソフトウェアのホスティング、運用サービスにも乗り出す。他社データセンターの一部をサイボウズが借りて、ソフトウェアを運用。エンドユーザーはネットワーク経由でソフトウェアにアクセスして利用する。SaaS型アプリケーションの基盤を開発するともいえる。まずはグループウェアなど自社製品のホスティングを開始し、上記のSFAソフトウェアに拡大する見通し。将来的には他社製品のホスティングも検討している。本格展開は2007年2月以降と見られる。

 津幡氏は日本でビジネスを始めたSaaS型ERPアプリケーションのネットスイートを挙げて、「SaaS型でERPなどの基幹アプリケーションを提供することには関心を持っている。われわれ自身には基幹アプリケーションを提供するリソースはないが、会計や人事のパッケージを持つ日本のベンダと協業していくことは想定している」と語った。

 サイボウズは7月3日に東証1部の指定を受ける。民間調査会社ノークリサーチによると、2005年の国内グループウェア市場でサイボウズは、IBM Lotus Notesに次いで2位のシェア。Notesとの差は4.6ポイントだ。青野氏は「1位が見えてきた。IBM、マイクロソフトという最強の企業を相手に“和の文化”を持つサイボウズが市場を切り開いてきた結果だ。今後は情報共有を広げて和の文化を輸出する会社になりたい」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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