ソフトウェアの不思議な性質

2006/7/8

 情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センターは7月7日、ITスキル標準 プロフェッショナルコミュニティフォーラムを開催した。プロフェッショナルコミュニティとはITスキル標準センターが設立・運営している、ITビジネスの第一線で活躍する人材からなるチーム。4月1日に発表された「ITスキル標準 V2」の策定にも貢献した。ITスキル標準改訂委員会 委員長であるCSKホールディングス 取締役 有賀貞一氏は冒頭の講演で、システム構築に必要な知識の多様性と、それに関連したITスキル標準(ITSS)の重要性を指摘した。

CSKホールディングス 取締役 有賀貞一氏

 有賀氏は、ソフトウェアを「人工言語で書かれた抽象的な作品であり、芸術作品に近い。しかし同時に、実世界に直接働きかける工業製品でもある」と説明した。ソフトウェアは個人芸的なものであるが、ソフトウェアを含む情報システム構築にはプロジェクト型チームワークが必須であるという。

 有賀氏はシステム構築に多様な人材が必要な理由を次のように説明する。システム構築にはシステム関連知識に加え、業務知識を抽象化された業務モデルとして理解することや、法律、パートナー管理などの知識が必要である。1人ではできない仕事であり、そのために多様なスキルを持った人材と、彼らをまとめるプロジェクト管理能力が必要になる。ソフトウェアが個人芸なら、システム構築は個人芸プラスチーム芸だという。

 「システム構築にはこれだけの知識技術が必要であることが、世の中できちんと認識されていない。そのために『何でもいいから10人集めろ』とか『10人が一週間でいくら』のようなおかしな話が出てくる。必要な知識技術を明確に示すために、ITSSが重要だ」と有賀氏は説く。「ITSSではプロフェッショナルのレベルが規定されている。今後はITSSのレベルによって、実際にどれだけの仕事ができるか実証していかなければいけない」と、これからの展開を語った。

(@IT 長谷川玲奈)

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IPA ITスキル標準センター

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