「白パジャマ」が日本のコンタクトセンターを変える?

2006/7/12

コンタクチュアル 会長兼CEO マンスール・サラーメ氏

 SaaS(Software as a Service)といえばセールスフォース・ドットコムなどのCRMソリューションが思い浮かぶが、今度はコンタクトセンター機能をSaaSとして提供する米国企業、コンタクチュアル(Contactual)が日本に本格進出した。

 インフォコムは7月11日、同社が7月3日付でコンタクチュアルとの合弁企業、ホワイトパジャマ・ジャパンを設立したと発表した。「ホワイトパジャマ」とはコンタクチュアルの以前の社名。もともとはスタッフが寝食を惜しみ、パジャマ姿でソフトウェアを開発していたことからつけられたコードネームだという。

 コールセンターやコンタクトセンターの構築には、ACD(呼分配装置)やCTIサーバをユーザー拠点に設置するのが一般的だが、米コンタクチュアルではこの機能を実現するソフトウェアを独自に開発し、データセンターで運用、ユーザー企業にサービスとして提供している。ユーザー企業はインターネット接続されたPC、IP電話機、あるいは通常の電話端末さえあれば、同サービスを利用することができる。呼分配のほか、CTI、電子メールのルーティング、IVR(自動音声応答)などの機能を備えている。

 コンタクチュアルは、SIPサーバソフトウェアのAsterisk、データベースのMySQLなど、オープンソースを積極的に活用。これに差別化のための独自ソフトウェアを組み合わせ、同社のサービス用にソフトウェアを開発したという。

 コンタクチュアルの会長兼CEO、マンスール・サラーメ(Mansour Salame)氏によると、同サービスでは本格的なコンタクトセンター機能を提供しているが、最大の特徴はユーザー・インターフェイスにあるという。米アップル・コンピュータでApple I、Apple IIやMacintoshのユーザー・インターフェイス開発を担当したビル・フェルナンデス(Bill Fernandez)氏が常勤で、使い勝手の向上を継続的に進めているという。

 サラム氏はCTIミドルウェア・ベンダの米ジェネシスに在籍したことがあるが、「ジェネシスの場合、顧客は製品が搭載している機能の3〜4%しか使っていなかった。しかしコンタクチュアルの顧客は、われわれが提供している機能の50%を使ってくれている」。これも設定のしやすさや使いやすさにあると話す。

 主なターゲットは50席以下といった中小規模のコンタクトセンター。規模が小さいために専用装置への投資をしたくないユーザー企業や、キャンペーンなどの短期での利用を望むユーザー企業に対し、2〜3週間で立ち上げが可能で、操作方法もすぐに習得できるという利点を生かして市場を開拓していきたい考え。

 米国では直販が主体だが、日本ではOEMパートナーによる販売が基本になる。通信事業者や人材派遣会社、コンタクトセンター向けシステム・インテグレーション業者などが各社のブランドでサービスを運営、販売できるように、ソフトウェアのライセンスと技術サポートを提供するという。「今後1年間で3〜4社のOEMパートナーと契約したい」と、ホワイトパジャマ・ジャパンの代表取締役社長竹原教博氏は話した。

 自社でサーバを運用できない販売パートナーに対しては、OEMパートナーあるいはホワイトパジャマ・ジャパンが運用代行を行う仕組みも用意している。

 同サービスの価格はパートナー次第だが、竹原氏によると、1席当たり月2万〜2万5000円が目安になるという。

 ホワイトパジャマ・ジャパンの出資比率はインフォコムが66.9%でコンタクチュアルは33.1%。同社は8月に日本環境へ対応した最新バージョン「Contractual Version 5.0J」をリリース予定。2009年度には年間8億円の売り上げを目指す。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
ホワイトパジャマ・ジャパン
インフォコムの発表資料

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