ロボットでエンジニア教育、ZMPが新教材を発表

2006/7/12

 ゼットエムピー(ZMP)は7月11日、ロボットを使ったエンジニア教育教材「ZMP e-nuvo」シリーズを発表し、大学、企業向けの教育事業へ本格的に参入する方針を明らかにした。

 ZMPは、科学技術振興機構の「北野共生プロジェクト」が開発した2足型歩行ロボット「PINO」の技術移管を受けて2001年に設立された。現在はPINOの販売やレンタル事業、キャラクターライセンス事業を行っている。また、同社が開発した2足型歩行ロボット「nuvo」の一般向けの販売や「nuvo」の下半身部分を使った教育向け教材用ロボット「e-nuvo」の販売を行っている。

ZMP 代表取締役社長 谷口恒氏

 「e-nuvo」は、2004年からこれまでの約2年間に、大学を中心とした教育機関や自動車会社などの企業に対して約300台の販売実績があるという。

 ZMP 代表取締役社長 谷口恒氏は「e-nuvoは脚部だけで12基のモーターを使うなど、複雑な構造のため基礎的な学習にはハードルが高い。また、部品数が多いので価格が高い。予算上、数台程度しか購入できないというユーザーも多かった」と2年の間に感じた課題を語った。

 また、組み込みソフトウェアの基礎の学習やMBD(モデリングベースデザイン)、制御シミュレーションツールの習得など、新たなニーズもある。

 そこでこれまで販売してきた2足歩行型ロボット「e-nuvo WALK」に加え、新たに3つの教材を追加し、カリキュラムの見直しを行った。

 1つ目はロボットの電子回路、モータ制御を学べる学習キット「e-nuvo BASIC」。2つ目はロボットのメカニズムと部品の設計・製作を学べるアーム型ロボット「e-nuvo ARM」。3つ目はロボットを動かす物理法則と制御方式を学べる倒立振子・2輪ロボット「e-nuvo WHEEL」。

e-nuvo WALK。左側が外装ありで右側が外装なし
e-nuvo WHEEL。 「アカデミズムの世界には2足歩行を否定する人も若干いるので車輪をつけた」(谷口氏)

 カリキュラムの開発には、ルネサステクノロジとサイバネットシステムが協力している。ルネサスのマイコン開発ツール「スターターキット」やサイバネットが販売する「MATLAB/Simulink」(いずれも別売り)を使って実践的な学習ができるという。

 「e-nuvo BASIC」と「e-nuvo WHEEL」は9月、「e-nuvo ARM」は12月に発売を予定している。価格は「e-nuvo WALK」が68万400円。「e-nuvo WHEEL」の外装付きが29万4000円。「e-nuvo ARM」と「e-nuvo BASIC」の基本セットは、それぞれ5万6700円と2万9400円。ZMPは初年度3億円の売上げを目指している。

 谷口氏は「今後もロボット開発の経験を生かし、工業デザインやプロジェクトマネジメントといった教材も展開していきたい」と語った。

(@IT 千葉大輔)

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