富士通がデュアルコアItanium 2サーバ、価格性能比3倍に

2006/7/20

 富士通は7月19日、インテルが同日発表した新プロセッサ「デュアルコア インテル Itanium 2 9000番台」(開発コード名:Montecito)を搭載した基幹IAサーバの新製品「PRIMEQUEST 500シリーズ」を発表した。デュアルコア プロセッサを搭載しながらも価格は据え置き。富士通は「従来機と比較して最大3倍の価格性能比」としている。

富士通が発表した基幹IAサーバの新製品「PRIMEQUEST 580」

 PRIMEQUESTは富士通が2005年4月に発表したIAサーバ。Itanium 2プロセッサを搭載し、Windows、Linuxが稼働する。主にメインフレームからの移行やサーバ統合を狙った基幹製品だ。500シリーズでは初めてデュアルコア プロセッサを搭載し、パフォーマンスと拡張性を高めた。CPUとメモリ間のバス帯域の拡張や、チップ間伝送技術の実装もあり、従来機の400シリーズと比較してパフォーマンスは2〜2.5倍になった。価格性能比は同じCPU数の従来機と比較して2〜3倍に向上。富士通は他社製品と比較しても「2〜3倍のプライスパフォーマンスがある」としている。

 500シリーズは、デュアルコアのItanium 2を最大8CPU(16コア)搭載する「520」、最大16CPU(32コア)の「540」、最大32CPU(64コア)の「580」で構成する。500シリーズではパーティショニング技術を強化。従来は4CPUごとのパーティショングに対応していたが、500シリーズでは仮想化技術を活用し、システムボード自体を分割し、2CPUごとの利用ができるようにした。

 この技術は「拡張パーティショニング機能」(eXtended Partitioning:XPAR)の名称で、580は最大16パーティションに分割できる。富士通はパーティションの粒度をさらに高める仮想マシン機能を開発中で、2007年度にも実装する見通し。

富士通の経営執行役 サーバシステム事業本部長 山中明氏

 また、オープン系サーバで不得意とされるバッチ処理を高速に行うため、バッチ処理基盤「Interstage Job Workload Server」(IJOB)を開発し、500シリーズに盛り込んだ。実行プロセスを常駐させることでバッチ処理の性能を3〜5倍に向上させるという。500シリーズにはオンライン処理を確実に実行するための基盤「Interstage Business Application Server」もあり、富士通の経営執行役 サーバシステム事業本部長 山中明氏は「ミッションクリティカル分野で威力を発揮する」と話した。

 最小構成価格は520が520万円、540が2180万円、580が4180万円。出荷は8月31日以降。富士通は500シリーズの発表に合わせてミドルウェア製品の課金単位をプロセッサ単位からコア単位に変更した。

 山中氏はPRIMEQUESTシリーズについて「爆発的に売れているわけではないがすでに100台以上が稼働している」と説明した。500シリーズは2007年度末までに2000台の販売を目指すという。特にデータベースの統合プラットフォームや、SAPアプリケーションのプラットフォーム、メインフレームからのマイグレーションなどがターゲットと説明した。

 インテルの新Itanium 2発表に合わせて富士通のほか、NECや日立製作所も新サーバを投入する。だが、Itanium 2についてはインテルの今後のサポートを疑問視する声もある。山中氏は「Itanium 2についてはいろいろなうわさ、ノイズが出ているのは事実だ。しかし、インテルの開発に踏み込んでいるわれわれから見るとインテルはItanium 2にコミットして、リソースをかけていると認識している。XeonやAMD Opteronではできない基幹システムをItanium 2でやれると思っている」と話した。

(@IT 垣内郁栄)

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富士通の発表資料

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