Adobe Acrobat新版登場、「もはやPDF作成ツールではない」

2006/9/20

 アドビ システムズは9月19日、電子文書の作成、管理ソフトウェアの新バージョン「Adobe Acrobat 8 日本語版」を発表した。PDF文書の作成だけでなく業務の電子化にPDFを利用したいとする企業の意向を反映させ、共有レビュー機能などを強化した。クライアントの「Adobe Reader 8」も発表した。

アドビが発表した「Adobe Acrobat 8 Professional 日本語版」

 Acrobat 8は共同作業などに活用できる「Professional」、文書作成中心の「Standard」、企業向けに機能を限定した「Elements」、3Dグラフィックスを含むPDFを作成するユーザー向けの「3D」で構成。ほかにAdobe Reader 8がある。

 Professional、Standard、3Dには電子メールやファイルサーバを使って、複数ユーザーでPDF文書を確認できる共有レビュー機能を追加した。ユーザーは確認したPDF文書にコメントを付けることが可能。ワークフローを構築するウィザード機能が製品に組み込まれているので、「サーバ管理者の手を煩わせず、簡単にレビューを行うことができる」(米アドビ ナレッジワーカービジネスユニット シニアプロダクトマーケティングマネージャー 山本晶子氏)。

 閲覧専用のReaderでも共有レビューに参加し、PDF文書にコメントできる。Professionalまたは3Dを使って対象のPDF文書に権限を付与することが条件。Readerは無償のソフトウェアでほとんどのクライアントPCにインストールされている。Professional、3Dがあれば共有レビューを手軽に行うことができる。

 ユーザーに配布して必要な情報を入力してもらうPDFフォームの作成機能も向上した。Professionalと3Dは、スキャンした文書やMicrosoft Word、Excel文書から自動でフォームを作成する機能を新たに実装。フィールドを新規追加することが可能で、IT部門に依頼することなく簡単なフォームを作成できる。Professional、3DでPDFフォームに権限付与すれば、ReaderでもPDFフォームをローカル保存したり、電子署名の付与ができるようになる。

 山本氏は「企業ではPDFを作る、見るは当たり前になっている。求められるのはPDFの活用」と指摘。「PDFは単なるフラットなドキュメントではなく、利用が広がっている」と説明した。またアドビ システムズのマーケティング本部 ナレッジワーカー部 フィールドマーケティングマネージャー 小圷義之氏は「Acrobatを業務の電子化に活用したいという企業の意向が高まっている。Acrobatはもはや単にPDF文書を作るだけのツールではない」と強調した。

 細かな機能追加もした。Professional、3Dには文書内の一部情報を完全に削除する「墨消し機能」を追加。Professional、3D、Standardには複数ファイルを1つのPDFファイルに束ねたり、複数のPDF文書をパッケージにまとめる機能、PDF文書をWord文書として出力する機能などを新たに実装した。起動時に利用できる機能を簡単に探せる「Adobe Acrobat操作ガイド」も表示されるようにした。

 Professional、Standardは11月下旬から出荷開始。3Dは2007年上半期、Elementsは2007年中に提供開始する。Readerは12月から。ちなみにAcrobat各エディションやReaderの起動時間は「前バージョンと同等」(アドビ)。Professionalは5万7540円(通常版)、Standardは3万6540円など。

 アドビはまた、買収したマクロメディアのコラボレーション製品「Macromedia Breeze」をAcrobatファミリに統合し、新たに「Adobe Acrobat Connect」と命名した。ConnectはFlashベースのWeb会議システム。Webカメラやマイクを使って離れた場所にいるユーザー同士で会議ができる。PDF文書などを表示し、複数ユーザーで閲覧、レビューすることも可能。アドビのパートナーが12月中旬から提供開始する。最小構成価格は320万円から。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
アドビ システムズの発表資料(Acrobat 8)
アドビ システムズの発表資料(Connect)

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