根性論で失敗する日本のプロジェクト、MS Projectの解決策は?

2006/9/21

 「日本のプロジェクトマネジメントは根性論。走りながら考えるのが一般的で、スケジュールは参考レベルだ」。マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 相場宏二氏は同社が年末にも出荷開始する「Microsoft Project 2007」(以下、Project)の説明会でこう指摘した。Projectは「プロジェクトマネジメントの体温計だ。リアルタイムでリスクを判断できる」と説明し、プロジェクトの失敗を避けるためにはProjectなどプロジェクトの全フェイズを管理できるツールの導入が不可欠と訴えた。

マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 相場宏二氏

 米Standishグループの北米企業への2000年の調査によると、IT関連のプロジェクトの成功率は28%に過ぎない。失敗してプロジェクトが完結しなかったケースは23%。遅延、コスト超過、スコープ未完による低品質などの部分的失敗は49%だった。相場氏はプロジェクト失敗の理由を「要求定義時のスコープが決まらず、開発の最終段階になってギャップが表面化する。発注側と開発側で言った、言わないのトラブルになる」と説明した。

 さらにスケジュールの設定が甘く、「絵に描いたもち」になることも多い。進ちょくが正しく把握できずに問題を抱えたままスケジュールが進行することもある。相場氏はプロジェクトの失敗は「ほとんどがコミュニケーションの問題」と話す。

 プロジェクトは品質、コスト、期間の3つを達成することが成功の条件。相場氏によるとやるべきことはシンプルだ。つまり「計画をきちんと立てる」「進ちょくをリアルタイムに把握する」「常に再計画を行い、最後まで放棄しない」の3点。しかし、この3点をサポートできるツールはProject以外にない、とマイクロソフトは考えている。あったとしても高額で手軽には利用できない。調査会社のレポートによると、プロジェクト管理ツール市場でマイクロソフトのProjectは、売り上げベースで約85%、本数ベースで約98%のシェアを持ち、独占状態にある。

 Project 2007は従来からの「Standard」「Professional」「Project Server」「Web Access」に加えて、全社レベルのプロジェクト管理を行う「Office Project Portfolio Server 2007」をラインアップに加える。同製品は米マイクロソフトが買収した米UMTの製品で、国内では英語版を提供する。「トップダウンの意思決定の迅速化」(マイクロソフト)を加速させるという。StandardやProfessionalはプロジェクトのシミュレーション機能やレポート機能が向上。Project Serverは新しいアーキテクチャを採用し、サーバのスケールアップやスケールアウト構成を可能にした。WAN環境でも十分なパフォーマンスを確保できるようになったという。

(@IT 垣内郁栄)

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マイクロソフト

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