BIユーザーは熱意と愛情がある――NCRのCEOに聞く

2006/9/22

 米国フロリダ州オーランドで9月21日まで開かれている米NCRのユーザーイベント「PARTNERS 2006」で、米NCRのCEO ビル・ヌーティ(William Bill Nuti)氏に話を聞いた。

■BIユーザーには熱意がある

――現在のBIの状況はどのような位置にあると思いますか?

ヌーティ氏 私は昔シスコシステムズに在籍していたのですが、シスコ設立当初は、ユーザーがインターネットやネットワークの可能性を信じて、シスコ製品を熱意や愛情を持って利用していました。

NCRのCEO ビル・ヌーティ氏

 このような熱意が、BIユーザーにもあるように感じます。彼らは「BIは、将来のビジネスで非常に重要な役割を果たすテクノロジだ」と認識して利用してくれていると思います。いわば、アーリーパイオニア(初期の開拓者)といえるでしょう。このようなユーザーは、まさに昔のシスコユーザーと同じく熱意を持って利用してくれています。

――CEOに着任して約1年間が経ちましたが、その間にできたこととできなかったことを教えてください。

ヌーティ氏 私が着任してまずしなければならなかったのは、2003年に策定された3カ年計画を完了させることでした。その戦略とは、まず「コストを下げて利益を上げる」ということでしたが、これは予定通り実現しました。そして、次は「現在のコスト構造を変えて競争力をつけ、将来に向けての成長戦略を策定する」というものでした。これは現在も進行中です。

――NCR自身がテラデータのユーザーであり、導入によって3億5000万ドルのコスト削減が実現したと基調講演で言っていましたが、その効果は予想の範囲内だったのでしょうか。

ヌーティ氏 コスト削減は予想以上でした。そして、さらに高い目標として今年中に計3億8000万ドルの削減を掲げており、実現できる見通しです。すでに削減した3億5000万ドルの内訳は、1億ドルがテラデータ導入による直接的な経費削減で、2億5000万ドルがBIのノウハウ共有などによる効果です。例えば、四半期決算の準備に従来は2週間かかっていたものが、現在では1週間になりました。このように経費削減は順調に推移しており、それに伴い利益も好調です。

 例えば、財務指標の1つである「NPOI(Non-pension operating income)」を例に取ると、2003年の3%に対して、2006年には9%超でした。この好調な財務状況は、ATMなどを扱うファイナンシャルセルフサービス部門がけん引しており、同部門はとても好調です。次いでテラデータ部門が貢献しています。成長率は、ファイナンシャルセルフサービス部門が前年度比6%増、テラデータが同11%増です。

■けん引役はファイナンシャルセルフサービスとテラデータ

――部門別の状況は。

ヌーティ氏 現在のNCRには6つの部門がありますが、主力はファイナンシャルセルフサービス部門とテラデータ部門です。ほかの部門に投資をしないというわけではありませんが、この2部門が主力ですから、この部門の競争力を維持するためにも今後も中心的に投資を行っていきます。

 日本市場はユニークで、POS関連の「リテールビジネス」が伊勢丹など大手に導入されて好調なほか、コールセンターのシステムインテグレーションビジネスも好調です。この状況は、他国とは異なった売上状況になっています。

――主力2部門の競争力維持のための戦略を教えてください。

ヌーティ氏 まず、当社は戦略的に「エンタープライズ分析」と「セルフサービス」という2本柱を競争の柱にしようと考えています。ファイナンシャルセルフサービスは、セルフサービスに含まれます。

 そして、競争力維持のためのポイントは3つあります。1つ目は、段階的に投資をしていくことと、需要を開拓すること、人材を確保することです。2つ目は比較的小規模な買収をして、自社にない技術を取り入れることです。3つ目はNCRと同程度規模の企業との提携です。この3つのポイントを実施することで、競争力の強化を図りたいと思います。

 一方で、日本では日本独自の戦略「日本NCRモデル」があり、まず、日本語化を推進していくことと、“日本で通用する”品質を保つことが重要だと考えています。

――ワールドワイドの売り上げに対する日本NCRの売り上げは7%ですが、日本に対する期待値を教えてください。

ヌーティ氏 米NCRから日本NCRに期待することは、「全社レベルの年間の成長率よりも1%高い数字を達成すること」と、非常に高い利益率です。この点については、確実に達成できると思っています。

――今後3年間の戦略は。

ヌーティ氏 3つあります。1つ目は、「持続性のあるコスト構造を確立すること」です。これは、全社的に利用できるようなコスト構造を作り出すことです。2つ目は、「市場シェアNo.1を維持しながら、売り上げと利益率をさらに上げること」です。3点目は、「ビジネスのしやすいシンプルな会社にすること」です。これは具体的にいうと、ビジネスプロセスを簡略化したり、ユーザーインターフェイスを見直したりすることが含まれます。

(@IT 大津心)

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