デル出身者を起用した日本オラクル、ロジスティックス管理で新製品

2006/9/26

 日本オラクルは9月25日、物流管理アプリケーション「Oracle Transportation Management」(OTM)を国内で提供開始し、ロジスティックス事業を強化すると発表した。OTMは米オラクルが昨年買収した米G-Logの製品を、「Oracle E-Business Suite」(EBS)と統合し、強化した製品。物流のフェイズごとに個別最適のシステムが多いロジスティックス分野で、全体最適のプラットフォームを構築する。

日本オラクルのアプリケーション事業統括 ビジネスディベロップメントエグゼクティブに就任した新良清氏

 オラクルは新たに専任、兼任合わせて30人規模の部隊を組織。トップにはデルで東アジア全体のサプライチェーン管理を9年にわたり担当してきた新良清氏を就けた。日本オラクルのアプリケーション事業統括 ビジネスディベロップメントエグゼクティブに就任した新良氏は、「ユーザーサイドでサプライチェーンを見続けてきて、モノの流れを一元管理してきた実績がある人物」(日本オラクル 執行役員 アプリケーションマーケティング本部長 藤本寛氏)。早稲田大学総合研究機構 プロジェクト研究所 ロジスティックス研究所で客員研究員を務めるなど「ロジスティックスの分野で知られる人物」だ。

 新良氏はロジスティックスについて「サプライチェーンをリアルタイムで可視化して、意思決定サイクルの短縮と的確なアクションが求められている」と指摘。しかし、現状は「サプライチェーンが海外に膨張し、業務が断片化している」と分析する。この状況でサプライチェーンを最適化し、製造業などが求められる「Just on Minutes」を実現するには、「サプライチェーンのエンド・ツー・エンドまでをオラクルによる1つのシステムで構築し、情報共有の横串を刺す必要がある」と語る。

 オラクルはロジスティックス管理製品をこれまでも持ち、EBSの各モジュールと組み合わせて提供してきた。しかし、これらのソリューションはロジスティックスの個別業務に合わせた製品で、グローバルに広がるロジスティックスの全体を一元管理することはできなかったという。「従来のソリューションが想定していたのは米国のトラック輸送。トータルで見ると強くはなかった。G-Logを統合することで数年の遅れを取り戻すことができた」(日本オラクル アプリケーションSC本部 インダストリーソリューションアーキテクト部 ディレクター 尾西克治氏)。

 OTMを使うことで貨物の複雑な集約、混載が可能になり、輸送コストの削減が可能になるという。米国での事例ではOTMを使うことで輸送コストは3〜8%削減。調達や指示などの生産性は5〜50%向上。決済などの処理コストは60〜70%削減できたという。ロジスティックスはこれまでITシステムによる全体最適が進んでこなかった分野で、尾西氏は「ロジスティックスは企業にとって、いまだにもうけの源泉だ」と語った。

 OTMはロジスティックスの荷主側、輸送サービス提供側の両方の企業が利用可能。製造業の物流子会社など物流を仲介する企業も効率化に利用できる。価格は4000万円台から。実際の提供価格は「億円単位になる」(日本オラクル)と見ている。

(@IT 垣内郁栄)

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