「サービス開発が容易に」、NECが語るNGNの素晴らしさと中核製品

2006/9/28

 NECは9月27日、同社が次世代ネットワーク(NGN)におけるサービスプラットフォームの中核と位置付ける基盤ソフトウェア「NC7000シリーズ」を発表した。標準APIを通じて通信会社やISP/ASPが構築するサービスに対して呼接続制御などのコンポーネントを提供する。NECは2007年後半から2008年にかけてNGN関連サービスの商用化がNTTを中心に始まると見ていて、サービスプラットフォーム向けのビジネスで2007年度末までに4000億円の売り上げを目指す。

 国際電気通信連合(ITU-T)の定義ではNGNは、IPベースのネットワークインフラと、アプリケーションを支える共通機能を提供するサービスプラットフォームが分離。アプリケーションを提供する通信会社やISP/ASPはサービスプラットフォームの共通化された呼接続制御や課金、認証などの機能を利用する。従来のネットワークは固定電話や携帯電話、インターネットなどがそれぞれ別のインフラ、サービスプラットフォーム、アプリケーションを持っていた。しかし、NGNはインフラとサービスプラットフォームを共通化し、ネットワークに依存しないサービス/アプリケーションの開発を可能にする。

NECの執行役員常務 国嶋矩彦氏

 NECの執行役員常務 国嶋矩彦氏は、「サービスプラットフォームを利用すれば一般企業でも自らでサービスを構築できるようになり、新たなサービスが次々に生まれる。われわれにとってもビジネスチャンスになる」と語り、通信会社やISP/ASPにとってサービスプラットフォームの提供が必須になると説明した。通信会社にとってもサービスプラットフォームを使うことで新規サービスの提供が容易になる。「従来のトラフィックビジネスからノントラフィックビジネスへ収益を拡大できる」(同社 執行役員 兼 ネットワークソフトウェア事業本部長 粉川英夫氏)。

 サービスプラットフォームはネットワーク機器を制御する「ネットワーク制御基盤」(IMS)と、呼び出しに応じてサービスを提供する「サービス提供基盤」(SDP)に分かれる。NC7000シリーズはSDPの中核を構成する製品で、3者通話などを可能にする呼接続制御(コールコントロール)や、メッセージ配信やチャットが利用できるメッセージング、人やモノの状態を管理するプレゼンス、音声と映像メディアを蓄積、変換するメディアリソースの各コンポーネントを持つ。各コンポーネントは、NC7000シリーズが用意するParlay-X APIなどの標準APIや、独自の拡張API(Java API、WebサービスAPI)を通じて利用可能。

 NECはサービスプラットフォーム向け製品としてほかにストリーミング配信基盤ソフトウェアの「StreamPro」やSOA基盤となるアプリケーションサーバ製品「WebOTX」、RFIDシステム連携を可能にする「RFID Manager」を持つ。バッチ処理とトランザクション処理を組み合わせて大量のイベント情報をリアルタイムで処理するミドルウェアも提供予定。NECはNTTが12月にも始めるNGNのトライアルにも参加する。NGN関連製品を積極的に発表し、当初のターゲットと見定める通信会社やISP/ASPに対して「NGNレディの状態をつくっていく」(国嶋氏)戦略だ。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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