マイクロソフトのビジネスモデルは終わっている〜ベニオフ氏

2006/10/12

 米国サンフランシスコで開催されている米セールスフォース・ドットコムのプライベートイベント「Dreamforce'06」で、同社 CEO マーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏に話を聞いた。

米セールスフォース・ドットコム CEO マーク・ベニオフ氏

 ベニオフ氏はセールスフォース・ドットコムの目標を2つ挙げた。1つ目は、「CRMベンダとして世界一になること」であり、これが最重要課題だという。そして、2つ目は「プラットフォームの提供」だ。プラットフォームの提供は1つ目の目標と密接に関係いる。例えば、プラットフォームの提供によってCRM以外のサービスも提供できるようになり、ユーザーの選択肢が広がった。実際、AppExchangeではプロジェクトマネジメントとリクルーティング分野のアプリケーションが非常に人気がある。

 ユーザーはCRM以外のアプリケーションを使いたい場合、400以上あるアプリケーションの中から必要なアプリケーションを探し出し、さらに人気ランキングを参考にしてどれをインストールするかを選ぶことができる。試用期間もあるので、イメージと異なれば、すぐに利用を止めることができる。

 次に同氏は、アジア市場についてコメント。アジア市場における普及の最大の障壁は、ユーザーが「米国ベンダは、米国が1番でアジアは2番目以降だ」と思っている点にあると指摘した。これは、すでに参入しているソフトウェアベンダの影響もある。例えば、一般的な米国のソフトウェアベンダの場合、米国で最新バージョンを出してから、日本でそのバージョンをリリースするまで約半年の期間がかかるのが一般的だという。

 漢字やカタカナといった2バイト文字特有のバグが出た場合でも、米国本国の開発部隊のプライオリティは低く、なかなか直らないため、アジアのユーザーはこういったことがトラウマになっているというのだ。同氏はこの問題を非常に懸念し、日本での営業活動の際には、「もし不具合があったら数時間で直します。オラクルなら直すのに数日間はかかりますよ」と営業マンにいわせているという。

 新たに発表したオンデマンド向けプログラミング言語「Apex」の詳細については、「まだ、あまり決まっていない」(ベニオフ氏)。実際、パッケージングの価格も考えていないという。しかし、開発者には課金を考えていない点や、基本的にAPI課金と同じ料金体系にしていく方向である点、ランタイムは無償で提供する点などを明らかにした。

 次にベニオフ氏は、9月に発表されたマイクロソフトのCRMアプリケーション「Microsot Dynamics CRM 3.0」について言及。同ソフトを利用する際に、WindowsサーバやIIS、SQL Serverなどが必要な点を指摘。「初期投資が高過ぎる。セールスフォース・ドットコムであれば、格安で始めることができる」(ベニオフ氏)と語り、価格面での競争力をアピールした。

 ベニオフ氏は「マイクロソフトのビジネスモデルは終わっている」と強調した。「もし、あなたが起業したばかりで予算があまりないときに、Microsoft Exchange ServerやOfficeスイートを買うだろうか。GmailやHotmail、Writelyで十分だろう。これらであれば年間5ドル程度の投資で済むからだ。また、来年になればWindows Vistaに乗り換えなければならなくなる」と話した。

 さらに「Windows Vistaに乗り換えれば、それに対応するアプリケーションを買い換えなくてはならないケースも出てくる。これはもう古いモデルだ。いまはインターネットがあるのだから、もっと違う方法があるはずだ。そろそろ、新しいモデルへの移行を考える時期なのではないだろうか。そうすれば、ノートPCをWindows Vistaに対応したモデルに買い換えて、多額の投資をする必要がなくなるのだから」と語り、マイクロソフトに依存しないモデルへの転換を訴えた。

(@IT 大津心)

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