ESBではなく「ESP」を提唱する新しいASTERIAの狙い

2006/10/12

 国産EAIベンダのインフォテリアは10月11日、3年ぶりとなるASTERIAの新バージョン「ASTERIA WARP」を2007年1月中旬にリリースすると発表した。ASTERIAは企業内、企業外のシステムを連携するEAIツールで、今回発表されたASTERIA WARPは第4世代になる。

インフォテリアの代表取締役社長 平野洋一郎氏

 従来のASTERIAはFlow Serviceと呼ばれるデータの入力〜変換/制御〜出力を行うエンジンを持っていたが、ASTERIA WARPはこれに加えてPipeline Serviceという新たなデータ連携エンジンを実装した。同社 代表取締役社長 平野洋一郎氏は「これはEnterprise Service Pipeline(ESP)という新しいコンセプト。SOAの世界ではSOAPやWebサービスをサポートするEnterprise Service Bus(ESB)に注目が集まっているが、ESPはさらにRESTやWeb APIなどを取り込んでESBをさらに進化させたもの」であると語った。

 ESPは企業間のデータ連携を志向したもので、データの入力に当たる「センサー」、データを変換/制御する「フィルター」、出力を行う「ジョイント」という3つのステージにおいて、処理中のデータをキューイング(一時保管)することでデータ損失を防ぐ。これによりインターネットを介した企業間のデータ連携でも安心してデータ送受信ができることを目指した。

 ASTERIAの基本コンセプトである「ノン・コーディング」での設計はASTERIA WARPにも引き継がれている。Flow Serviceは従来どおりクライアントアプリ ケーションによる設計ツールを使用するが、Pipeline ServiceはWebブラウ ザ+Ajaxで動作する「Pipeline Coordinator」となる。ユーザーはこのツー ルから、データ連携の設計、運用監視が行えるという。

 ESPというネーミングには、海外SOAベンダが提唱するESBへの対抗意識がにじむ。これについて、同社 プロダクト事業部 製品戦略マネージャ 山崎将良氏は「ESBは企業のシステムインフラ全体を対象とするため、導入までに時間がかかっているのが現状だ。ASTERIA WARPは必要なデータだけに的を絞り、少ない工数でデータ連携を図るのが狙い」と語る。

 ASTERIA WARPから製品ラインは3つに分かれる。中核製品の「WARP」に加え、上位機種となる「ARMS」、そして機能を制限した廉価版の「WARP Lite」だ。WARP LiteによってこれまでEAIツール導入に消極的だったユーザーを取り込み、発売開始から1年で200本の販売を目指すという。

(@IT 上島康夫)

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インフォテリアの発表資料

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