アドビのミニアプリ「Apollo」の可能性は

2006/10/14

 「Apolloはクロスプラットフォームのデベロップメントツールだ」。米アドビ システムズのAdobe Flex テクニカル エバンジェリスト テッド・パトリック(Ted Patrick)氏は、アドビの社長兼COO シャンタヌ・ナラヤン氏もデモンストレーションした同社期待の技術、Apolloをこう説明する。クライアントPCで動くミニアプリケーションはヤフーやグーグルなども提供開始し、注目を集める。パトリック氏は「非常にリッチでリアルタイムのアプリケーションを作ることができる」とほかのミニアプリケーションとの違いを強調する。

Apolloで開発したアプリケーション(クリックで拡大します)

 ApolloはクライアントPCで稼働するアプリケーション。ネット上の各サービスが提供するAPIやRSSフィードを読み込んでデータをリアルタイムに更新できる。Apolloの最大の特徴はFlashやFlexのリッチ・インターネット・アプリケーション、PDF、HTMLなど複数のフォーマットを使ってアプリケーションを開発できること。Apollo自体はランタイム。Flex Builder向けのSDKが提供され、Apolloのアプリケーションを開発できるようになる。

 パトリック氏はクライアントPCから「Flickr」「YouTube」を検索してデスクトップ上で画像を表示したり、動画を再生するApolloアプリケーションをデモンストレーションした。「ネット上のサービスと簡単にやりとりできて、楽しく作ることができる」とApollo開発の簡易さを強調。デベロッパに対しては「Web上のサービスをデスクトップでも使えるようになることを訴えたい」と話した。Apolloはネットワークに接続していないオフライン状態でも利用できる。ナラヤン氏は「Apolloはオンラインとオフラインのいいとこ取りをして本当のWebサービスを提供する」と語っている。

米アドビ システムズのAdobe Flex テクニカル エバンジェリスト テッド・パトリック氏

 また、Apolloは「Flexと相性がいい」(パトリック氏)と説明する。Flex 2で開発したWebアプリケーションをバックエンドのサーバと連携させるためのツール「Adobe Flex Data Services 2」と、連動させることが可能。パトリック氏よるとSAPはApolloを使ったビジネス・アプリケーションを開発中。FlexとApolloを組み合わせることでビジネス・アプリケーションでの利用も広がる。

 アドビはAdobe Labsを通じて2007年初めにもApolloの開発者向けベータを提供開始する計画。正式リリースは2007年第1四半期から第2四半期を予定している。

(@IT 垣内郁栄/富嶋典子)

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アドビ システムズ

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