54Mbpsデータ受信時の消費電力270mW以下を実現

ブロードコム、組み込み系に強い超低電力Wi-Fiチップ開発

2006/10/27

 ブロードコムは10月27日、超低電力型Wi-Fiチップ「BCM4326」と「BCM4328」を発表した。すでにサンプル出荷を始めており、2007年の第1四半期〜第2四半期ころには搭載製品が登場する予定だ。

クリント・ブラウン氏の写真 米ブロードコム WLAN事業部事業開発ディレクター クリント・ブラウン氏

 BCM4326はIEEE 802.11b/gに準拠し、BCM4328はIEEE 802.11a/b/gに準拠した製品。大幅な低消費電力化を実現したのが特徴で、54Mbpsのデータ受信時の消費電力が270mW以下に抑えられているという。一般的な携帯電話に搭載した場合、バッテリによる待受時間も500時間以上とうたっており、同社は業界最高水準の低消費電力化を実現したとしている。

 米ブロードコム WLAN事業部事業開発ディレクター クリント・ブラウン(Clint Brown)氏は、「これからWi-Fi市場は、低消費電力が求められるゲーム機器や携帯電話など組み込み開発向けの市場と、ノートPCやルータなど、低消費電力よりも比較的高速化を望む市場の2種類に分かれるだろう。前者はわれわれのようなベンダが実現し、後者は802.11n準拠製品が実現していくはずだ」と現在の市場を分析した。

 低消費電力化は、無線LANチップをワンチップ化した点や、全体の消費電力を削減する電力管理ソフトウェアの導入などによって実現したという。USB 2.0やSDIO/SPIといったホストインターフェイスにも対応した。ブラウン氏は、「特に受信面は改良した。受信アーキテクチャを改良することにより、従来製品よりも25%の受信性能の向上を実現した」とコメント。また、Bluetoothと共存できる点も特徴で、Wi-FiとBluetooth、Wi-FiとBluetoothとFM電波などとの組み合わせも可能だとした。

 ビジネス面では、ブロードコムは現在、任天堂やバッファロー、ニコン、エプソンなどとパートナー関係を締結している。この点についてブラウン氏は、「パートナー企業を見れば分かるように、当社はゲーム機器やプリンタメーカーなど、組み込み系でさまざまなカスタマイズが必要なベンダに支持されている。これらはアンテナの構築方法や組み込み方など、複雑なインテグレーションが必要だからだ。従って、多くのインテグレーションを手掛け、ノウハウを多く持っている当社が支持されている。今後、日本市場ではパートナーとの協力関係をさらに強化し、組み込み系ベンダのパートナーやユーザーを増やしていきたい」と語り、今後の方向性を示した。

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(@IT 大津心)

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