日立システムが指摘

「Excel」という名のBIツールが日本を席巻する

2006/11/01

 IDCジャパンの資料によると世界のビジネス・インテリジェンス(BI)市場に占める日本市場の比率は3.9%。外資ベンダの日本市場に占める割合は一般的に10%程度で、BIは例外的に低いといえる。外資ベンダはそこに成長の余地を見いだすが、データベースやERPパッケージのような強いプレイヤーはまだ生まれていない。日立システムアンドサービスの執行役 石井清氏は「Microsoft Excelがナンバー1のBIのフロントツール。われわれはExcel上でBIの活動をしている」と話し、Excelが本格的BIの拡大をブロックしているとの認識を示した。

hitachisys01.jpg 日立システムアンドサービスの執行役 石井清氏

 国内BI市場の成長率は13.6%(2005年出荷金額、矢野経済研究所調べ)で、世界市場よりも若干高い。ビジネスオブジェクツ、SAS Institute Japan、コグノスなどがシェア争いを続けていて「ガリバーのプレイヤーがいない」(石井氏)状況が続いてきた。しかし、2006年に入り、日本オラクルとSAPジャパンがBI市場に本格参入し、状況が不透明になってきた。日本オラクルはデータベース、SAPジャパンはERPですでに大きな顧客基盤を持ち、BIの専業ベンダを脅かす可能性がある。

 さらに「マイクロソフトがBI市場に本格参入したら誰も勝てない」と石井氏は解説する。非常に豊富な資金と技術力を投入すれば、先行ベンダの製品に追いつくのは容易。OSとの連携を打ち出せばほかのベンダが突き入ることは難しい。ただ、マイクロソフトは独占禁止法など法的な規制のターゲットになりやすい。「参入したとしても意外とおとなしい可能性もある」と石井氏は見る。

 BIベンダがマイクロソフト以上に恐れる必要があるのは既存製品のExcelだ。Excelは多くのBIのフロントエンドツールとして使われているが、Excel単体でも豊富な分析、レポーティングの機能をそろえている。特にExcel 2007では100万行以上の扱いが可能になり、「普通の企業のデータなら扱えるようになる」(石井氏)。Excel 2007では数値の傾向を表示する機能や異常値を見つける可視化の機能が強化される。マイクロソフトはExcelを単なる表計算ソフトウェアからデータを有効活用するためのツールに脱皮させようとしている。

 国内でExcelが望まれる背景には、日本特有の帳票文化もあると石井氏は指摘する。海外企業でも帳票を使うが、日本企業の帳票は「非常に精緻で特殊。日本ほど難しい表を作っている国はない」。この帳票への要求に外資のBIベンダが応え切れていないのが、市場が拡大しない原因の1つと石井氏はいう。「あるBIベンダでは1ライセンス当たりの問い合わせ件数は日本が他国の3倍。特に帳票や見栄えについてのクレームが多いという。日本人の要求は外資ベンダから見ればクレージーだ」。

 対して「マイクロソフトだけは日本をターゲットにExcelを開発してきた」(石井氏)。Excelの機能の98%は日本からの要望で開発されたともいわれる。石井氏は「マイクロソフトは日本人をターゲットに開発すれば、世界中どこでも通じるという論理でExcelを開発している。BI専業ベンダは日本市場の品質要求にどこまで対応できるかが鍵だ。ただ、その体力があるかは問題」と指摘した。複雑な表示をさせるレポートや大量データの処理では、Excelに対してBIが優位なのは言うまでもない。しかし、日本の顧客の要望を吸い上げるという点ではExcelが上回る。「Excel 2007では、Excelの活動範囲がさらに広がる。BI製品の適用範囲が狭められる可能性がある」(同氏)。

日立金属でBI利用の経営ダッシュボード稼働

 日立システムはベリングポイントと共同で日立金属に「BusinessObjects XI Release2」をベースにした経営情報システムを導入した。経営陣向けの経営ダッシュボードを採用したのが特徴。導入期間は5カ月で10月に稼働した。日立システムはBI専任の技術者を50人擁するなどBIソリューションの展開に力を入れている。経営の可視化が求められる内部統制整備の需要が拡大すると日立システムは見ていて、BI市場全体の盛り上がりに期待している。

(@IT 垣内郁栄)

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