パートナー企業こそVistaを導入してユーザーに良さをアピールすべき

皆さん、Vista、Vista、Vista!! 〜バルマー氏

2006/11/06

 マイクロソフトは11月6日、パートナー向けイベント「Microsoft Japan Partner Conference 2006」を開催し、米マイクロソフト CEO スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏やマイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が、パートナー各社に向けて講演を行った。

Plan-Jは順調、地方支店を強化してパートナー支援を拡充する

 最初に登壇したヒューストン氏は、まず「私が日本のマイクロソフトの代表に就任してから最も誇れるものはパートナーシップを強化し、パートナー各社との協力関係を築いたことだ」とコメント。同氏が社長就任時に掲げた経営方針「Plan-J」のコミットメントである「日本における投資の拡大」「企業およびコンシューマにおける技術革新の促進」「政府や教育機関、産業界とのより深いパートナーシップ」の3点が順調に進展していることをアピールした。

バルマー氏写真 米マイクロソフト CEO スティーブ・バルマー氏

 今後のチャレンジ分野には「ITプロ」「開発者」「デジタルワークスタイルのブレイクスルー」を挙げた。ITプロや開発者向けには、「3Kといわれている環境を改善し、優秀なITプロや開発者を育てたい。.NETも順調に普及してきており、.NET開発者も今後さらに増やしていきたい」(ヒューストン氏)と語った。

 一方で、日本が米国より遅れている点にデジタルライフスタイルやデジタルワークスタイルを挙げ、「米国と比較して日本は3年〜5年は遅れている。例えば、エンタープライズ市場におけるレガシーシステムは日本がまだ30%あるのに対して、米国は5%だ。中小企業におけるIT導入度も低く、米国の半分程度にすぎない。サーバ導入率は3分の1程度だ」と指摘。日本の中小企業におけるIT導入率やサーバ導入率の低さを警告した。

 パートナー支援施策では、「地方のカバレッジが十分ではなかった。私が当社の支店を回ったとき、正直ガッカリした。今後は名古屋などの支店を引っ越し、セミナーを支店でできるようにしたい」とコメント。パートナーとの協業モデルでは、「システムインテグレーション事業においても、パートナーと競争するつもりはない。コミュニケーションや担当営業など重点7項目を今後も重視していく。まずは、今後発売するWindows VistaやOffice 2007など新製品をパートナー自身が導入し、確かめてからエンドユーザーにその良さを伝えてほしい」と語った。

デスクトップとイントラ検索ではGoogleに圧倒的に勝てる〜バルマー氏

 続いて登壇したバルマー氏は、「Windows Vistaの登場は、Windows 95やWindows 2000よりも大きなインパクトになることは間違いない」と断言。「結局ビジネスは人が作り出すものだ。VistaやOffice 2007などのツールは、その人が必要なものを見つけ出す手助けができるようになる」と説明した。

 同社が新たに取り組むマーケットには、「セキュリティ」「ユニファイドコミュニケーション」「情報検索とオンラインサービス」「BI、ポータル、ワークフロー」の大きく分けて4分野を挙げた。セキュリティでは、新しいビジネスセキュリティ製品群であり、クライアントのウイルス対策やマルウェア対策などを担う「Microsoft Forefront」をリリースする。コミュニケーション分野については、「ユニファイドコミュニケーションを実現する。2007年初めからVoIP市場に参入するつもりだ。エンドユーザーの視点に立って製品を開発していきたい。今後数年間でこの市場は本格的に拡大していくだろう」(バルマー氏)と説明した。

 そのほかには、Windows LiveやMSNなどを含んだ「Live Platform」を拡充していくとし、「現在、当社では『ソフトウェアとサービス(Webサービス)をどうやって組み合わせていくか?』という問題を考えている。サブスクリプション収入だけでなく、サービスでは広告収入なども見込める。このように当社のビジネスモデル自体を変革させているところだ」(バルマー氏)と説明した。

バルマー氏写真 パートナーからの質問に答えるスティーブ・バルマー氏(左)とダレン・ヒューストン氏(右)

 次に「日本市場に対して、米国マイクロソフトがどの程度のリソースを割くつもりであるか?」という問いに対しては、「当社は技術はグローバル化し、商売はローカル化するというコンセプトを持っている。従って、日本独自の商習慣などにはできる限り対応していくつもりだ。投資額は、日本は米国に次ぐ2番目に大きな市場なので、それ相応の投資をしていく。毎年数十億ドル単位といえるだろう。調布には400名を超える開発者を抱えている」と答えた。

 また、Googleがインターネット検索だけでなく、デスクトップ検索にも進出している点については、「確かに、Googleのインターネット検索は素晴らしい。しかし、デスクトップ検索やイントラネット検索など、“外部に出したくない情報”“公開したくない情報”に対する検索技術に関しては、当社が圧倒的に勝っていると自負している」とコメントした。

 「日本で.NETが想定していたのより普及していないのでは?」という問いに対しては、「私は日本では.NETとJavaは良い勝負をしており、.NETがJavaより普及していると認識している。.NETの方がJavaより少ないコード数でプログラムできるし、ロンドン証券所は.NETでシステム構築するなど、大型案件も多い。しかし、開発者が足りないのは深刻だ。.NET教育をサポートしていかなくてはならない」と回答。当面のマイクロソフトの課題に対しては、「まず1つ目は、VistaとOffice 2007を広く普及させること。2つ目はエンタープライズ向けWindowsやエンタープライズ向けOfficeをもっともっと売ることだ」と答え、去り際には「皆さん、Vistaをよろしくお願いします。Vista、Vista、Vista!!」とアピールしながら会場を後にした。

(@IT 大津心)

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