互換性問題を指摘

レッドハット幹部がオラクル批判、「Unbreakable Linux 2.0にはリスク」

2006/11/15

 米レッドハットのワールドワイドマーケティング担当 シニアバイスプレジデント ティモシー・イートン(Timothy Yeaton)氏は11月15日都内で会見し、米オラクルが発表したRed Hat Linuxのサポートサービス「Unbreakable Linux 2.0」について、「オラクルはRed Hat Linuxをリコンパイルするとしているが、リコンパイル後の結果が元と異なってアプリケーションやハードウェアとの互換性の問題が起きるリスクがある」と指摘した。イートン氏は「レッドハットの顧客はサポートの価格ではなく、価値でRed Hat Linuxを選んだ」とも述べ、低価格を強調するオラクルを批判した。

redhat01.jpg 米レッドハットのワールドワイドマーケティング担当 シニアバイスプレジデント ティモシー・イートン氏

 Unbreakable Linux 2.0はレッドハットが提供するサポートと同等、もしくは上回るサポートを半額で提供するという米オラクルの新サービス。日本オラクルも2007年初めにも国内でサービス開始することを検討している。レッドハットとオラクルはLinux戦略でのパートナーだが、Unbreakable Linux 2.0の発表以後は関係が微妙になっている。

 イートン氏は、サポートサービス提供のためにオラクルが顧客のRed Hat Linuxをリコンパイルすることで、「ISVのアプリケーションが動かなくなる可能性がある」と指摘した。レッドハットのアプリケーションやハードウェアの認定リストを継続する、とオラクルは説明しているが、「ブログやメディア記事によるとRed Hat LinuxとUnbreakable Linux 2.0の違いは特定されている」(イートン氏)といい、認定リストは引き継がれないと説明した。

 ただ、11月14日に都内で会見した米オラクルのグローバル・テクノロジ・ビジネスユニットのバイスプレジデント ロバート・シンプ(Robert Shimp)氏は、互換性問題について「オラクルはこれまでもRed Hat Linuxをサポートしてきたが、互換性の問題は一切出ていない。レッドハットの認定リストをそのままサポートする」と語っている。

 Unbreakable Linux 2.0が衝撃だったのはオラクルというビッグベンダが、レッドハットの半額でRed Hat Linuxのサポートを行うと発表したことだ。だが、イートン氏は「レッドハットがこれまで対抗してきたのは無償のLinux。顧客は価格ではなく、製品の革新性やサポート、ソフトウェアベンダの認定を評価する」と話し、サポート料金は顧客の判断基準にならないとの考えを示した。そのうえで「オラクル対抗でサポート料金は変えない」と明言。「オラクルが提供できない価値をレッドハットは提供できる」と強調した。

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(@IT 垣内郁栄)

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