ノウハウ共有でコンサルティング強化

「SOAに仮想化は不可欠」−オラクルとHPが検証センター設置

2006/11/28

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)と日本オラクルは11月28日、企業のSOA導入を促進するため、相互のノウハウを共有してコンサルティング業務の強化を図ると発表した。具体的には、11月1日付けで日本HP内に発足したサービス指向コンサルティンググループと、オラクルのSOAコンサルタントチームの間でノウハウやテンプレートなどの共有を進める。

 サービス指向コンサルティンググループは現時点で20名ほどだが、ビジネス規模拡大にともなって随時拡大予定だ。また両社チーム間で情報を共有すると同時に、SOAシステム実現の要となる「Oracle Fusion Middleware」について、日本オラクルが日本HPのコンサルタントを対象としてトレーニングするほか、東京・市谷の日本HP内には同ソフトウェアをインストールした検証センターを設ける。

hp01.jpg 日本ヒューレット・パッカード株式会社 テクノロジーソリューション事業統括 コンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 本部長 酒井孝雄氏

 日本HPは11月7日に発表されたグリッド技術の検証を目的とした「Oracle GRID Center」設立でもパートナーとして名を連ねている。ビジネスの変化に合わせて柔軟にシステムを変更できるSOAにとって「ハードウェアの仮想化は不可欠」(日本HP ソリューション戦略本部 本部長 酒井孝雄氏)といい、仮想化環境でSOAシステムの検証ができることが、協業による日本オラクルのメリットの1つだ。

 現在、企業内の業務アプリケーションは業務別に設計・導入されているケースが多く、個別の業務アプリケーション同士の相互運用性に課題がある。日本オラクル システム製品統括本部の清水照久氏によれば、1000億円規模の企業2つがM&Aによって業務統合をした場合、同一業務遂行のために設計された2つの異なる業務アプリケーションを連携させるには、年間約1000万円の費用がかかるという。業務統合後もそれぞれの業務アプリケーションを改定していくため、このコストは毎年発生する。ビジネスとITの連携強化、企業間連携やM&Aによるビジネス変化速度の加速といった社会的背景もあり、業務システムのSOA化が急がれる。

hp02.jpg 日本オラクル株式会社 システム製品統括本部 Fusion Middleware営業部 シニアディレクター 清水照久氏

 SOAのコストメリットが喧伝される一方、現在稼動している各種業務システムは、すでに業務に依存した設計でサイロ化しているという現実がある。企業全体で統一したIT・ビジネス戦略を持ち、一貫したシステムアーキテクチャでSOAベースのシステムを組むのが理想だが、こうした全面的なSOAシステムになるとコンサルティング段階を含めて導入に2〜3年かかる大がかりな話となる。このため、既存システムを部分的に順次SOA化していくというアプローチが戦略的重要性をもつ。データベース指向で設計された既存のシステム、「DOA」(Data Oriented Architechture)をSOA化する製品とノウハウに強みを持つ日本オラクルと協業する日本HPのメリットは、そこにある。

 HPとOracleは、グローバルでこれまでにも25年にわたるパートナーシップを維持し、世界13拠点に共同ソリューションセンターを設けるなど多方面にわたって協業している。カスタマー層の重なるトップベンダ2社のSOAに特化したアライアンスによって、企業システムのSOA化に拍車がかかりそうだ。

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(@IT 西村賢)

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